2020年4月27日月曜日

インデックス(市場ポートフォリオ)に対する長期投資の考察

はじめに


最近の相場を見て思うことがあり、「ファイナンス理論全史」という本を読むことでそれを言語ができそうな気がしたので、ここでアウトプットしてみます。

インデックスというと、沢山あるETFは大体なんらかのインデックスに連動しているわけですので、ここは敢えて市場ポートフォリオと付けました。
アメリカならS&P500あたりのことを指します。商品名でいえば、VOOならVTI、あるいはVTでしょうか。

インデックスの長期投資における理論的根拠というのは、現代ファイナンス理論になるわけですが、これらについては、いくつかの「仮定」が含まれています。理論は、現実を単純化、抽象化したものだからです。そこから導かれる結論は、誤りというわけではありません。
(そもそも将来のことは誰にもわからないので、現時点でそれが正しい、誤っているとは言えませんが)


ここでいう長期とは、景気サイクル(概ね10年~15年程度)を複数回経過するということで、つまり30年以上とします。


インデックス長期投資が正しい理由



  1. 市場は効率的なので出し抜きはできない。出来ないなら平均に乗るのが正解で、いじくるとリスクとリターンの比率が崩れるだけで、メリットはない。
  2. 短期的な変動はともかくとして、「長期的には」マーケットは右肩上がりなので、とにかくインデックス投資でコツコツ積み立てることで、コストを最小化し、時間を味方につけることで、資産を増やしていく。
  3. 市場はランダムウォークであるため、厳密なマーケットタイミングを読むことはできない。よって、定期的に積み立てていく方が良い。
  4. 市場全体に分散されているので、リスクは消しようがない最小限のものになっている。


まず、この4つの大前提があるのだと思います。
その中で、赤字の部分は私が仮定だと思う部分です。

1つ目の市場は効率的については、「ファイナンス理論全史」を通読されるのが良いのですが、効率的ということに対しての反証はいくらかあります。というか、それなりの意識をもって相場をウォッチしていれば、効率的だと本気で信じる人はいないと思います。
但し、「自分」がそれを出し抜けるかは別です。

2つ目の長期的にマーケットが右肩上がりかという点については、シーゲル本を読まれるのが良いと思います。
少なくとも「過去はそうであった」ことは間違いありません。
シーゲル本によれば、バブルの天井で買っても10年で戻り、30年もたてばプラスだそうです。そんなに含み損を見て待っていられるのか、お金を必要とするところでクラッシュが起こったらどうするのか、といった問題はありますが、一応この仮定は正しいと言えば正しいです。
また、米国株式の歴史を見れば、その間に多くの条件が変わっています。それでも、概ね7%程度のトータルリターンで右肩上がりということは、それなりに期待する理由があるようにも考えられます。
7%でヨシ!とするかは人によるでしょうが、インデックスの「長期&定期積立」では超えるのは難しいでしょう。

3つ目のマーケットタイミングについては、最近でもそうですが、全く読めていません。これは能力や知識量による面もあるとは思いますが、実際の問題として読み切れないものは仕方ありません。
但し、その解決方法が、「長期&定期積立」だけは限りませんが

4つ目の分散については、細かいことは「投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門」を読むのがよいでしょう。
問題は分散された「リスク」というものが、個人投資家にとって重要なのか?という点になります。


インデックス投資をやめる理由


  1. ここ数年は不効率の連続であった。過剰なGAFAMへの集中、跳ね上がるPER、思惑だけであがる一部の株式とそれに引っ張られるインデックス、世界の状況を無視して上昇する相場。
  2. 長期的に右肩上がりと言い切るには、不透明な世界状況。
  3. 暴落が一度起これば何でも下がる中で、バイアンドホールドの効率の悪さとハイリスク性。
  4. 分散の方法は、本当に市場ポートフォリオしかないのか。
先ほどの正しい理由に対比させてみました。

1は、最近私が不効率だと思ってきた市場の現象です。
2018年以降ずっと違和感を抱えて現金ポジションを抱えていたので、まあ見事にしてやられているのですが。
実際問題として市場ポートフォリオ=時価総額インデックスでは、GAFAMの影響が大きすぎると思います。
GAFAMが素晴らしい企業であることを否定するつもりはないのですが、益回りで考えた時にこれが投資に値するリターンがあるのかということについては、疑問を持っています。
しかし、インデックス投資はそのようなことは考えませんので、高値を是正する日が中々来なかったりします。

今の全体的なPER水準にも疑問があります。いわゆるリスクフリー金利(=国債)を考えれば、今の全体的なPER水準も正当化できるとおっしゃる方もいます。
確かに、国債がほぼ0%ならば、株式が3%,4%しか益回りがない状態でも、十分なのかもしれません。
私がこれを気にするのは長期投資だからです。短期投資として、ある程度益が乗れば売り、含み損が出れば切るというのであれば、別に問題ありません。しかし、長期投資ということは、ずっと金利が0%のはずはなく、金利が上がる時期が来ることもあるでしょう。
それも飲み込むほど成長して、適切なリターンをもたらしてくれるのかというと果たしてどうでしょうか?
或いは金利とは関係なく長期投資として、市場参加者が30年先まで右肩上がりを続けると思い、この益回りを感受している(=効率的だとしている)可能性もあります。
ただ、それほど株価が強い(高PER)時代は過去の例からはすでに外れているので、「過去」を理由そのままインデックス投資が正しいのかというと、それは再考する余地があると考えるべきでしょうか。


2は、過去だけを以って長期的に右肩上がりというのは、条件の違いが目につきます。
ざっと思いつくものを上げると

  • 金本位制から離脱してからの年数は、実はそこまで長くない。
  • 金利が低い(今だけかもしれませんが)。
  • 人口動態が右肩上がりとはいいがたい(アメリカはまだ続きそうですが)。
  • 環境問題、人口増加による食料問題などの成長を阻害する要因がある。
あたりでしょうか。
条件の違いを考えれば、右肩上がりになると考えるより、「わからない」と考える方が適切なように思います。

金融や経済の歴史というものを勉強するなかで感じるのは、金本位制時代と今は通貨の供給量などの条件が違うと考えるようになりました。
これが投資の結果にどうつながるのかということ言えないのですが、少なくとも条件としては違うと考えたいです。

また、金利も特にリーマンショック以後は、低金利・緩和が染みついており、金利を上げることへの政治的ハードルはこれまでにない高さとなっているように思います。
金利が低いことに適応してPERが高くても気にせず買うという人が、金利が高い時代のリターンを見て長期投資は大丈夫だと根拠にしているのならば、それは矛盾と呼ぶべきことでしょう。

人口動態については、米国はまだ増加するでしょうが、日本や欧州は減少になるでしょう。リーマンショック後は、チャイナの経済成長が世界を引っ張ってきた面もあります。しかし、そのチャイナも人口動態で見れば少子高齢化国になっています。この問題は、次なる増加国もあるので、そこまで致命的ではないかもしれません。それでも、リーマンショック後のチャイナのように、それらの国がなれるのかというと現時点では不透明に感じます。候補は、インドやベトナム、インドネシア、ナイジェリアあたりでしょうか。

環境問題は、某環境少女が喚いたりしているのは無視するとしても。
新しい技術を生み出す契機になる、企業に効率化を強いるという意味ではプラスの要素もあるでしょう。
しかし、化石燃料が使いづらいということも、チャイナウイルスとは別の構造的な問題として原油安につながっています。原油安が続けば、今の市場をそれなり以上に支えているオイルマネーが消える可能性を考えなくてはなりません。
また、当然ながら、産業構造の変化にも繋がっていくでしょう。


3は、まさに3月の暴落を見ていて、私は現金が7割くらいあったので特に気にせずみていたのですが、フルインベストメント派の中にはネットから消えた人も散見されました。単に気絶投資法とやらを実行され、全ての情報を遮断しているのかもしれませんが。
もし、2が前提であるなら、気絶しても報われるかもしれません。そうだとしても…ですよ。自分の資産が30%、あるいは半減、最悪9割減になって、30年後戻るからへーき!と言えますか?
私は、それは普通の考えとは思えません。
確かにやることは少なく、ミスも起こりにくいため初心者向きと言われますが、(場合によっては)資産を半減させても指を咥えてみていなさいというのは、人に勧め難いものがありますし、自分も耐えられない可能性があります。
さらに、厳密なマーケットタイミングが読めないとしても、投資家として情報を収集し分析をしていれば、厳密には無理でもある程度の割高・割安というのはわからないものではないです。
ハワード・マークスの振り子理論ではありませんが、過去の例から見て右肩上がりが信じられるのならば、過去の例からみて景気のサイクルが来るということも信じてもよいのではないかと思います。
ということは、割高な時にポジションを軽くしておくことで、急速かつぴたりとタイミングが読めない下落に備えるということは不可能ではないと考えます。もちろん、それで利益が減る可能性があることは甘受しなければいけません。

自分が持っている株が上がりすぎている、逆に自分が買いたい株が下がりすぎているということは、そんなに難しいことではありません。PERや益回りは、「いつ」下がるかを教えてくれません。なぜなら相場は行き過ぎるわけで、高PERでも良い企業と思われればドンドン上がっていく場合があり、割安で実力があっても不人気や知られていなければ安いままということはあります。
また、PERや益回りは、あくまでも利益の予想に対して算出されるものですので、予想利益が変われば変化するという点もあります。
それでも、株式に期待できるリターンとリスクフリー金利の相関からして、ある程度の割高なり割安は読めると思います。そのある程度でも、バイアンドホールドを続けるよりは、効率を上げられるのではないでしょうか。


4は、分散投資はある意味で正しいかもしれませんが、市場全体ということは、所謂「クソ」な株が多数含まれることも事実でしょう。S&P500は日本の東証一部よりは優れた企業の集まりであることは確かでしょうが、GAFAMと比べれば「クソ」な企業が含まれていることは否定しがたいです。GAFAMも割高で期待リターンが低くなっているという面では、「クソ」かもわかりませんが…。

分散投資はリスク(ボラティリティ)を下げるということになっていますが、同じように優れていてかつ値動きが一方向ではないという前提がここには含まれると思います。
しかし、実際の市場ポートフォリオには、「クソ」な企業も一杯ありますし、この暴落でもわかるとおり、下がるときは皆下がるのです。ある程度「幅」はあるにせよ。
ということは、市場ポートフォリオだのリスクフリー資産だという面倒なことを考えても大した意味はなく、現金と株でいいのでは?という話になり、株の中で大体同じ方向に行くのならば、「クソ」を並べてリスクが下がった気分を味わうより、優良株だけを並べる方が正しいのではないでしょうか。

VIGというETFがあります。これは連続増配を元にスクリーニングするものです。この基準が正しいかどうかは別として、これによって一定の「クソ」企業は除去されています。その結果、リーマンショックもチャイナウイルスショックも含め、市場連動のETFに比べるとアウトパフォームしています(期間の取り方により変わります)。

もう一つは1で触れたとおり、GAFAM集中により偏重しているため、本来の意味での分散投資になっているのか?も怪しいとも感じます。

強引にまとめると1銘柄しか持たない時、自分の選ぶ数~数十の優良株を持つ時、スマートベータETFでスクリーニングされた時、市場ポートフォリオの時で、ボラティリティが数学的に減るとしても、個人投資家として抱える(資産を失う)危険性にはそんなに大きな違いがあるのかということについて、現代ファイナンス理論とは別の結論を持っていいのかと思います。
1銘柄しか持たなければ、その会社が不正決算でもしていたらアウトです。もしくは何らかの事情でその企業が競争力を急速に失ってもそうでしょう。
銘柄数をある程度増やせば、それは改善されると思います。ETFでも然り(セクターETFは除く)です。ですが、それと市場ポートフォリオの差というと、私はあまり無いように感じます。
もっと言えば市場ポートフォリオで分散するのではなく、債券やREIT、コモディティも含めた分散でないと意味がないのではないかと思います。その様なアクセス性のよい商品はないと認識しています。
そう考えると、市場ポートフォリオには、「クソ株」が混じっているというデメリットばかりが目立ち、分散投資というメリットはそこまでではないと考えます。


最後に、ブラックスワンの生みの親であるタレブの言う通り、過去から未来を推測するということは、ブラックスワンを見逃すわけで、なんらかの理由で今の株価が90%減になって向こう30年たっても今の水準に戻ってこないということは否定できません。
むしろ、そうなっている国に住んでいるのが我々日本人ではないですか。
だからこそ、投資家を名乗るならどんな戦略をとるにせよ、常に出口を考えておいた方が良いと思います。
2020年4月26日日曜日

ファイナンス理論全史(田渕直也著)

ファイナンス理論全史―儲けの法則と相場の本質
理論を知りぬく革命児だけが相場で勝つ。リスクとリターン、投資対象の価値や価格をどう読むべきか?ランダムウォーク理論/モダンポートフォリオ理論/capm/効率的市場仮説/ブラック=ショールズ・モデル/アービトラージ/カオス理論/バリュー投資/AI運用等、100年分の投資理論が体系的に一気にわかる!


はじめに


この本もTwitterで紹介されているのを見て買った本でした。
全史というタイトルの通り、現代ファイナンス理論の歴史と相場の歴史を織り交ぜながらストーリーが展開されていきます。

現代ファイナンス理論自体の説明もありますので、その辺り前提知識が無くても読めるかとは思いますが、事前に読んでおく方がスムーズかとは思われます。

私見として気になった点をいくつか紹介します。


ポイント


1900年にフランスの数学者バシュリエが出した論文が、最初のファイナンス理論として認められています。後に、ランダムウォーク理論と呼ばれる考え方であり、これが示すポイントをまとめると、
  • 将来の価格変動を断定的に計算できない。
  • 確率なら計算できる。
という点になります。
特に1つの目のポイントが投資家や金融業界から強い反発を受け、現代ファイナンス理論の歴史=ランダムウォーク理論とそれに対する反論と相克の歴史とまで言えると筆者は言います。

もう一つの現代ファイナンス理論の支柱がポートフォリオ理論であり、これはハリー・マーコウィッツの博士論文から出たポートフォリオ選択の理論とCAPMが導く市場ポートフォリオがあります。
これを運用として実現する先駆けになったのが、ジョン・ボーグルのバンガードです。

これらに対し、ウォーレン・バフェットを初めてとするグレアム・トッド村の住人のように好成績を収め続ける特定の手法が出てきます。これをアノマリーと呼びます。

効率的市場仮説派は、アノマリーが発生したとしても一時的であり、収益機会を探す投資家がそれを見つけて殺到していくことで、アノマリーは消えて、継続しないとします。
つまり、市場は存在するだけで効率的ではないということであり、投資家がしのぎを削った結果として、効率的になっていくことを示しています。

しかし、これで完全に市場が効率化されてしまうと、アノマリーは見つからなくなり、対価が得られなくなるため賢明な投資家が退場します。その結果、再び効率性を失いアノマリーが生まれることになります。
よって、効率化へ向かう力と完全な効率化を阻む壁が共に内在しており、特定のアノマリーが消えてたとしても、全てのアノマリーがなくなることはないということになります。


ファイナンス理論では起こりえない事象が起こるということを警告した人物としてブノア・マンデルブロがいます。マンデルブロは、相場変動の確率分布を安定分布だと主張しました。それ自体は正確ではないようですが、彼が指摘した「異常事態が起きる確率が平均から遠ざかっても中々下がらない」という性質(ファットテール)は重要な問題でした。
しかし、ブラックマンデーが起き、それを予測可能性の問題から例外として、現代ファイナンス理論が幅を利かせた後に、リーマンショックが起き、強い批判にさらされます。
現代ファイナンス理論は、ファットテールを例外事象として気にしなくてもよいものと思わせたことに欠点があったと筆者は指摘します。

その他に、行動ファイナンスや非対称の収益機会、統計的手法等にも触れられています。


あとがき


この本には、「儲けの法則と相場の本質」という副題がついています。
こうすれば儲かるといった次元の低い話ではなく、儲けが何によってもたらされるのかということを、現代ファイナンス理論をテーマに据えて問われているような本に思います。

読む人によっては、この本によって個人投資家は市場ポートフォリオ(インデックス)を堅持していくべきだと考えると思いますし、またある人にとっては消えないアノマリーを突こう考えるでしょう。あるいは、新しいアノマリーを発見しようとするかもしれません。

その意味で私もすごく考えさせられました。
また、投資を続ける中で考えを変えることあるでしょうが、この本を読んで考察したことは、別にアウトプットしておこうと思います。




現代ファイナンス理論を先に予習するには、こちらの本がおすすめです。

投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門(冨島佑允著)



金融の歴史については、こちらの本も併せて読むと理解が深まります。

金融の世界史(板谷敏彦著)
2020年4月22日水曜日

これから買っていきたい銘柄 Part2



TMO


Part1のページを公開した後に、TwitterでAに近いが買収戦略をとっていて良いという旨の情報をご教授いただきました。
御礼申し上げます。

財務基盤についてはAと甲乙つけがたい感じですが、こちらはEPSが順調に伸びていることを好感しました。

ビジネスについて、年次報告書を見ていきます。

私たちの使命は、お客様が世界をより健康に、より清潔に、より安全にすることを可能にすることです。製薬およびバイオテクノロジーに携わる40万人以上のお客様にサービスを提供しています企業、病院、臨床診断ラボ、大学、研究機関、政府機関、環境、産業の品質とプロセスコントロール設定。75,000人を超える同僚からなる当社のグローバルチームは、革新的なテクノロジー、購入の利便性、医薬品のユニークな組み合わせを提供しています

業態は似ているため、Aと同じような戦略で買うことができるかと考えます。
細かく見るとどちらが〇〇に強いという特徴があるのかと思いますが、私の理解力では年次報告書を読んだだけではそこまではわかりませんでした。
同じシナリオで買えるの株の中で、成長重視ならTMO、(どちらかというと)還元重視がAというのが印象です。

当社の遺伝子科学事業は、顧客を支援する高価値のゲノムソリューションを提供するために使用されるさまざまな機器と関連試薬を組み合わせています研究、臨床、応用市場における決定。当社の製品には、遺伝子発現、ジェノタイピング、またはタンパク質の変化を個々の遺伝子ごとに特定するために使用されるリアルタイムPCR技術が含まれます。

ゲノム系に強みがあるのでしょうか?
この辺りも需要が伸びる可能性が高いと思われるので、面白いのではないでしょうか。


ISRG 


インテューイティブ・サージカルは、ダ・ヴィンチという医療用ロボットを扱う会社で、この分野では大きいシェアを持っています。
但し、ロボットといっても完全に自動で動く…という意味ではなく、医療器具の1つというレベルのようです。

ここを狙うのもAやTMOと理由は近いです。
医療用ロボットという分野自体には、Google等のハイテク企業も参入してきています。そのような分野で生き残るのは容易ではない…とも考えられますが、私見では医療の分野においては乗り替わりのコストは高いのではないかと考えます。
人命を預かるため過去のエビデンスが重視される。実績の少ないものを採用するのは難しい。よって扱う現場の側としても慣れたものを欲しがる。ということは、ネットワーク効果があると言えるのではないでしょうか。
ダ・ヴィンチの特許は切れたようですが、それによって業績に何か影響があるようにはパッと見は見えませんでした。
Vinciシステムは、手術室に3次元の高解像度(「3DHD」)画像を表示しながら、コンソールに快適に座った状態で動作します。この没入型視覚化は外科医を外科領域とその器具に接続します。コンソールに座っている間、外科医は自然な形で器具のコントロールを操作します開腹手術と同様の方法で。私たちの技術は、人間の手首の動きに類似した一連の動きを外科医に提供するように設計されています。

ダ・ヴィンチシステム自体が高価でもありますが、それに加えてメス等の器具も専用のものを消耗品として用意しなければならないので、普及すればするほど儲かるという強力なビジネスを確立しているといえるのではないでしょうか。

1つ気になる点といえば、自動化のレベルが高い医療用ロボットが出現した場合、一気に引っくりかえされる可能性があるのかもしれません。
2020年4月18日土曜日

金融の世界史(板谷敏彦著)

金融の世界史
シュメール人が発明した文字は貸借記録の必要に迫られたものだった。ルネサンス期のイタリアに生まれた銀行・保険業と大航海時代は自由な金融市場をもたらし、国家間の戦争は株式・債券の基を創った、そして今日、進化したはずの国際市場では相変らずデフレ・インフレ・バブルが繰り返される…人の営みとしての「金融」を通史として俯瞰する試み。


はじめに


TwitterのTLで紹介されていた本で、内容に興味を持ったので買ってみました。
古代メソポタミア以来の金融の通史を、比較的平易にかつ興味深いエピソードを中心に語られています。
特に投資家にとって有用なのは、後半の13章以降に書かれている第二次世界大戦以降の内容かと思いますが、今回は通史の中から私的に興味深い内容を取り上げます。
その意味では世界史の理解を深めたり、別観点から見るのにも役に立ちます。むしろ投資家よりも教養向けかもしれません。


ローマ法による財産権の確立


現代人にとっては常識ともいえる私有財産権ですが、社会制度として明確になったのはローマ法だそうです。
すべての形式の財産はひとりの明確な所有者を持つべきであり、その所有はそのような財産に関して契約関係を結ぶ資格を与えられる
その前から個人の財産権についてはハンブラビ法典やアテナイにもあったそうです。

一方、財産権が補償されないケースは、レパント沖海戦でトルコの司令官が軍艦に全財産を持ち込んでいた(留守宅に残せなかった)というエピソードや中世ヨーロッパの資産家の大半が国王に貸し付けたことにより破産したことが挙げられます。

しかし、これは当たり前とはいえず、第二次世界大戦後でも、ソ連や支那のような共産国家と西側の世界を二分するイシューであったともされます。


新大陸から流入した銀による「価格革命」


ギリシャやエジプトなどで蓄えられた金銀財宝は、アレキサンダー大王の遠征で集められ、軍団に報酬として地中海沿岸にばら撒かれ、それを元にローマの貨幣経済が作られたと考えられるそうです。
その後はヨーロッパで銀山開発などもあったようですが、スケールの違う大量の銀がスペインを通じて新大陸からヨーロッパへ持ち込まれ結果、スペインでは一世紀の間に物価が四倍になったそうです。
このような通貨量の増加によるヨーロッパの長期インフレを「価格革命」と呼びます。

この結果として、地代収入で安定していた領主層や最低限の生活をする下層の民衆は生活を脅かされた一方で、商工業の発展が促されたそうです。


ナポレオンとロンドン市場


ナポレオン戦争の勝敗の重大な要因として、筆者は英仏の資金調達能力を挙げています。

英国は、各種国債のクーポンや償還期間を統合した無限永久国債(コンソル国債)を発行し、元々低かった国債の流動性を高め、新たな投機家も加わることで売買の厚みをましていました。また、議会が主導権を握った後、一度もデフォルトしていないという信用がありました。
さらに、当時金融の中心地だったアムステルダムはフランスの衛星国になったことで衰弱し、最終的にアムステルダムをナポレオンが進駐したときに、資金の保全と自由を求める金融事業者を追放したことで、ロンドンが金融の中心地になりました。
同様にドイツのフランクフルトやハンブルクをナポレオンの占領により、ドイツ系ユダヤ人がロンドンへ移住していました。

その一方、フランスはルイ十四世以来デフォルトを繰り返しているため、国債には信用がなく、国債を使った戦費調達が困難でした。ナポレオンは占領地域からの賠償金で戦費を確保し、国債発行を控えて、均衡財政としたそうです。これで信用は回復したようですが、発行を再開できるほどではなく、最後は資金が枯渇したようです。


終わり


これらのエピソード以外にも興味深い内容が多数あります。
金融の側面からみたバブルの理由、第二次世界大戦の間の株式市場、チューリップバブルや南海会社などのバブルの歴史etc

まず重要なポイントとしては、金融というものは社会と不可分なものだということが理解できると思います。
投資をしていると、特にインデックス投資や先物等はそうですが、「何に対して投資しているのか」ということを忘れがちです。
しかし、金融とは社会と切り離された数学や確率の世界だけではないということを、金融の歴史は我々に教えてくれます。
2020年4月17日金曜日

これから買っていきたい銘柄 Part1

はじめに


現状の乱高下する相場の中で投機的なサテライト戦術で遊び散らしていましたが、銘柄探しも並行して行っていました。
その内容について、メモを残しておこうと思います。
財務分析とかではなく、何で欲しいと考えるかということを中心に書いています。

なお、これらの銘柄については、投資を推奨するために挙げているものではありませんので、興味を持たれたとしても、裏取りを十分になさってからにすることを推奨します。
筆者は、投資の結果及び内容の正確性は一切保証しません。
また、抜粋している年次報告書の内容はすべてGoogle翻訳で流し読みしているものなので、記載意図と筆者の認識に相違がある可能性があります。

有名な銘柄


特にわざわざ挙げるほどのものではないが、投資を検討している株。

AAPL
AMGN
BRK.B
CRM
GOOG
JNJ
KO
MA
MCD
MMM
MSFT
ORCL
T
UNP
V
VRSN

赤字が保持していない株です(ETF除く)。
保持していないところから、買っていこうと思います。特に太字の株が個人的に早めに買っておきたいなと考えています。


銘柄選定の概要


筆者が興味を持つ分野は、「環境」「健康」「分析」の3点です。

私見ですが、既に富が行き渡っているこの世の中で、人が何を求めるか、何が不足する可能性があるとなれば、「環境」ではないでしょうか。
環境というと幅広い言い方をしていますが、主に水や食料、大気などが考えられます。

その次が健康です。お金を持った人は長寿を望むのが普通であります。
また、社会が豊かになるに連れて生活習慣病なども増えているため、大衆にかかる医療費も増えることはあっても減ることはないでしょう。

最後の「分析」は、これらの問題を解決するために必要な要素の1つと考えるためです。


他にも面白そうな会社があったら考えてみたいのですが、情報収集能力の限界で見落としも多いと思うので、よろしければTwitterで絡んでもらえると幸いです。


A


アジレント・テクノロジーズです。
分析機器の大手メーカーですが、ライフサイエンスに強みを持つためヘルスケアセクターに属します。
ヘルスケアといえば製薬会社というのが目立ちますが、人が製薬会社を中心にみているのであれば、別路線から攻めたくなるのが筆者です。

私見ですが、製薬会社(バイオ医薬も含む)というのは、特許というワイドモートを持ちます。しかし、この特許が切れる前に次の稼ぎ頭を生み出せるかというとギャンブルの側面があるとも言えなくはないです。
同じヘルスケア分野でも、医療機器や分析・データ系の会社等は、製薬会社に比べると安定して伸びやすいのではないかと考えています。医療機関で実績のあるものは、人の命がかかる分野だけで、乗り換えコストは高く、薬と比べて急により安全で確実な薬が出てひっくり返るみたいなことが少ないのかと考えています。

アジレント・テクノロジーズについては、年次報告書から抜粋ですが
医薬品、バイオ医薬品、CRO、CMO市場。この市場は、製薬業界全体に参加する「営利」企業で構成されています治療研究、発見と開発、臨床試験、製造および品質保証と品質管理の分野におけるバリューチェーン。1つのサブこの市場のセグメントは、コアで新興の製薬会社(「製薬」)です。2番目のサブセグメントには、バイオ製​​薬会社(「バイオファーマ」)が含まれます。受託研究機関(「CRO」)および受託製造機関(「CMO」)。バイオファーマ企業、そしてやや少ないがCROとCMOは通常、製薬業界のバリューチェーンの特定のポイントに参加します。
と記載されています。
つまり、現状ヘルスケア業界は、チャイナウイルスの影響で”不要不急”の手術等が伸びるなどのことがあり、マイナスの見方が出てきています。
しかし、アジレント・テクノロジーズの場合は、BtoBをターゲットとしており、「一時的」に製薬会社等が売り上げを減らしても、急に研究開発の費用は削減できないとなれば、成長軌道に大きな影響が出ないとも考えられます。

また、アジレント・テクノロジーズの事業ポートフォリオには、天然ガスや石油精製に関係する部分があります。この部分が足を引っ張って株価が安くみられるとすれば、却って長期投資家にはお得とも言えなくはないです。

もう一つ事業ポートフォリオで気になっているのは
環境と法医学の市場。当社の機器、ソフトウェア、ワークフローソリューションは、環境市場で次のようなアプリケーションに使用されています。空気、水、土壌および固形廃棄物中の化学汚染物質の実験室およびフィールド分析。環境業界の顧客には、政府のすべてのレベル、産業および製造部門、エンジニアリングおよびコンサルティング会社、商業試験所、および大学。
です。 ヘルスケアで基盤がある上に、環境分野も重視しているのは筆者的に楽しみであります。

HON


ハネウェル・インターナショナルです。
この株はどちらかというと割安だから買いたいというところです。資本財セクターに当たりシクリカル銘柄に該当するように思います。
どうしても暴落相場の時は、ディフェンシブな株(生活必需品とか)を買いたがる人が多いですが、暴落相場で拾うべきは、これから上がる株を買う方が儲かるのです。
なので、上記のMMMもそうですが、資本財セクターは仕込み甲斐があると考えます。セクター全体で買うべきではないと思いますが。

次に、色々な斬新なサービスが続々と出現するハイテクセクターと比べると地味ですが、製造業はそのような会社のサービスを利用して、効率を上げ・コストを下げ・品質を上げることが可能ではないかと考えます。
また、原油安の局面であれば、それ自体がコスト減につながるのもプラスな点です。(いずれ原油価格は戻るとは思いますが)

その中でハネウェルを選んだ理由は、営業CFマージンが比較的高めなのと財務基盤が安定していることでしょうか。
財務基盤がしっかりしているということは、まず生き残れることであり、M&Aを通じてより強固な事業ポートフォリオを構築できる可能性があるということを示します。

ただし、実際買うのはもっと下げ切ってからということになります。
見てわかるとおり、当面多くの打撃を受ける航空業界の影響をそれなりに受けるためです。
現状でもそこそこの益回りに「計算上は」なりますが、比較的遅くまで影響が残ると思うので、引き付けてから買おうということになります。この辺りはMMMも同様です。

もう一つ個人的に考えるシナリオには、チャイナからの撤退が進む場合、トランプ政権の方針的なものもあるので、アメリカの製造業が戻ってくる展開もある程度の確率であるかなと思います。
そういう局面になった場合、想定よりも資本財セクターが大きく伸びる可能性があるのではないかと読みもあります。
特に、ハネウェルの年次報告書には
当社の防衛および宇宙事業部門の経営成績は、防衛および宇宙計画に対する米国および外国政府の予算の混用、およびコンプライアンスリスクの影響を受ける可能性があります。
という記述が記載されています。
逆説的に防衛産業が活発になれば、プラスの影響を受ける場合があることを示しています。


Part2へ続く
2020年4月11日土曜日

【長期投資】3月~4月までの相場の乱高下に対するアウトプット

はじめに


2020年の3月~4月の相場は大荒れでした。
これが暴落というかは人によるかもしれませんが、通常の上昇相場では起こりえない乱高下であることについては、異論無いかと思います。

この相場で得た?と思っていることをアウトプットしておこうと思います。
素人投資家目線風雑記なので、変なところもあるとは思いますが、ご容赦下さい。
まあ、このブログ「雑記帳」ですけどね。


考えていた作戦


いざこのチャイナウイルスが現れた時には、ついに行き過ぎた相場の調整が来たと思いました。理由は、一部の大型株(要するにGAFAM)の吹き上げでS&P500全体でみるとあまり利益が増えていないなどの状態をみて、景気サイクルの末期であると認識していました。
そのきっかけがパンデミックというのは意外でしたが。


つまり、この時点で50%程度の調整はあってもおかしくない、市場は行き過ぎるものだという考えを持っていたため、下がった値段の割に応じてドルコストでちょっとずつ買い下がっていくという方針を考えていました。
詳細は、2月末の月次報告に記載しています。
今持っている資金のうち株に投資してもよいと考える部分から、下落した割合を元に投資額を増やしていくという変形ドルコスト平均法です。


実際どうなったのか


結論からいうとこの作戦はあまりうまくいかずに買い遅れています。
現時点ではということになりますが。

一番の問題は、最高値からS&P500がどの程度下落するかを基準にしたことです。
頭ではわかっていることですが、「相場にいる現在の時点では、最終的にどの程度下がるかはわからない」のです。
だから、20%下げたらこの程度買うというルールをスルーしました。
ぶっちゃけ、下げ速度が速かったので今回はデカいぞと思ってしまったわけです。
しかし、少なくとも現時点では50%下げというのは遠いですね。

ルール破ったお前が悪いんじゃない…というのは確かです。
それでは先に進まないので、人間的な感情や直感の要素を排除したシステムを構築することを考えましょう。

実際にやってみると値段をベースにするというのは、見た目よりも難しいもので、ちょっとザラ場でラインに達したけど、終値ではまだの場合など悩むポイントがあるというのと、値段を必要以上に注視するがために、もっと下げるだろうから残しておいた方が、儲かるなというスケベ心を掻き立てるのです。

もう一つの問題は、買おうとしているものがS&P500のインデックスならこれでいいのですが、個別株とか他のETFを買おうとする場合、S&Pの下落率で動いていいのかと疑問になり手が止まるという欠陥もあります。
厳密に買う対象の全ての株なりETFで%を算出するとタイミングや購入額の割り振りがややこしくなります。

あとは、無関係ですが、サテライトと称して、資産のごく一部でCFDやベア3倍ETFで遊び散らしていました。序盤はよかったのですが、後半はちょっとはっきりしないところで仕掛けて残念な結果に。
注意力散漫になるのと、ルールを無視しやすい雰囲気を作ったのは悪手でした。サテライトはコアにダメージを与えないようにしましょう。
でも、SPXSで3倍ETFの勘所を身にたたき込めたのは、今後(生き残れば)TECLを買おうという考えを持っているので、役に立つ経験だったと思います。ちょっと授業料には高かった。

つまり、ルールの中にある程度「自分で判断する余地」があったということになります。
これは平時においては重要なことですが、戦時においてはそうではありません。戦場で冷静な判断ができる人間というのは限られており、感情や希望、習性を排除しきれないのが人間なのです。だから、新兵の訓練の最初は意思を潰して、命令に従うという反射を仕込むことなのでしょう。相場についていくトレーダーというのもまさにそうで、自らの定めるルールとシグナルに従うという反射を仕込み、意思を潰す訓練が必要なのかもしれませんね。

こういう乱高下の相場はまさに戦場であって、適切に人間が判断できると考えるのは危険です。プロは強力なアルゴリズムを使い徹底的に狩りに来ます。その中で絶対に人間が勝てないとは言いませんが。

購入タイミングは相場に従うのがベストでありますが、先ほども言ったとおりそれを完璧に実行するのは難しいです。長期投資において、タイミングを見計らうことは、利益を増大させる機会を得る一方で、本来の目的である企業の利益の分け前に預かることの妨げになる面があることも確かです。
購入タイミングは、(長期投資において)本質的にあまり重要ではないことを承知して、戦場で無暗に判断を下そうとしないことが肝要でしょう。

但し、購入対象については相場から離れて土日に冷静に吟味すべきです。これは自分の判断で行うべき決断です。
その判断で適切な対象に(判断が難しいなら市場全体のインデックスに)、長期投資すべきかを常に心がけたいものです。


どう行動するか


ここまでと意見を全く翻し、いつ購入するかを早速探るようなノリが始まります。
でも、これは戦場から離れたところで考えているので大丈夫です。購入対象を探るのと同じです。
以下は読まなくてもいい駄文です。

値段がだいぶ戻ってきてS&P500でいうと半値には戻ってきました。
2番底はない!と買い煽る流れも出る一方で、エコノミストの分析ではかなりの経済ダメージがあるというこちらも煽りが出ています。

要するにわからないということです。
しかし、一つ分かることは、「まだ荒れている」ということだけです。VIXの数値もそうですし、世の中もそうでしょう。
「荒れている」ということは、上下どちらもあり得るわけであって、そこでどちらかにかけようとする行為は、1/2の確率を狙う行為なので、あまり分の良い賭けとは言い難いです。
確信を持って楽観なり悲観なりの方であればどうぞ。
しかし、私はまだ1/2、どちらかいうと悲観に寄っているかな、それでも1:2くらいかなというところです。

ポジショントークではありませんが、改めて買う戦略を立案するにはよい土日だと思います。来週からの決算はまた1/2の世界なので。

そこで考えた方針は「色々あったけど、急回復とは考えにくいので、期間をルールとしたドルコストで頑張る」です。(※給与から捻出して行う積立投資とは別)

つまり、ただのドルコストですね。手を加えてしまったがために、「機械的に買う」というところから逸れたことに対し、反省をしているのです。

ある時は叩かれ、またある時は信者がいたりしますが、私の見解は、「いつ、どのくらいか」わからないが1~2年のスパンで下がる(可能性が高い)と考えられる時には便利だと考えています。
ただし、常に最適な戦術ではないし、そもそもその様な戦術はないですが。
もし、3~4年先が底なら、たぶん今一括投資してもよいはずです。底を過ぎて右肩上がりなら言うまでもなく、今すぐ一括投資すべきです。
ドルコストがハマるタイミングが丁度今なのではないか、というのが私見です。

  • ウイルスの行方やそれに対しての治療薬、ワクチンが出来るかについては不確実性が高すぎる。
  • 市場は"織り込む"と言われるが、織り込んでいるものの全体像は明確ではなく、思惑というかアルゴリズムが交錯する中で、本質から乖離しているように見え、却って"織り込まれていない"ことが増えているように思う。特にヘッドラインへの瞬間的な反応が増え、本質的な事象が無視されている。
  • このような上下に振られる状態が続けば、脱落する参加者が増え、どこかで買いが不足する事態があり得る。
  • FEDは良く言えば迅速に行動しているが、悪く言えば引き返せない危険な道へ進んでいる可能性がある。
  • チャイナが脱落し、米国の覇権が継続する流れになるとしても、混乱期がある可能性がある。(チャイナがさらに膨張するなら株式相場全体にマイナス)
ということで、二番底がどうということではなく、2019年までのゴルディロックス相場は既に終わっているということだけは、改めて確認しておきたいです。パンデミックがトリガーを引いたのです。簡単に右肩上がりの相場に戻れるとは考えにくいのです。
もう一つは、結局過去データに頼っていますが、景気後退を伴うショックは少なくとも1,2年に渡り、「長期的に見た」買い場を提供してくれるものであることです。

判断が変われば、当然残り全額をぶち込むわけですが、ドルコストならそれまでは「買っている」ので完全なタイミング狙いよりは"傷が浅い"のです。

辞めておいた方がよかったこと


コア、サテライト問わずに、良くなかったなと思うことを列挙します。

  1. 一次的思考で行動する。
  2. 確率の高いタイミングではなく、微妙なタイミングで動く。
1つ目の一次的思考とは、ハワード・マークスの指摘する概念であります。
実例を挙げるのであれば、「今日はチャイナウイルスの感染者が増えたから、株価にはマイナスだ」「OPECで減産することに合意したから、原油は上がる」といった、単純な反応です。
なぜ、これがいけないのかといえば、誰でもわかることであり、要するに「既に織り込まれている」のです。
常に二次的思考を張り巡らせて、どうするかを考えるのが本来ですが、個人投資家にとって、しかも日本から投資する米国株という情報チャネルの限られるところで、それを続けてマーケットに勝つというのは、容易ではないでしょう。

そこで問題になるのが、2つ目です。
ここでいう確率は、単にチャート上のことだけではなく、アイデアに対し実現する(と読む)確率も含みますが、とにかく一番やってはいけないのは1/2に対して賭けることです。
絶対のない相場だからこそ、動くなら有利だと確信する場面か、あるいは確率を無視して、決められた戦略に則るかのどちらかにすべきだということです。


最後に


最近色々情報収集をして、そこから世界観をもって対応していたのですが、あまり効果がないので趣味の世界として、投資判断には辞めておこうと思いました。呟くだけにします。
そんなに器用じゃないから、全部情報カットしようかなぁ……(笑)



注釈
本項では、所謂新型コロナウイルス(COVID-19)をチャイナウイルスと呼称します。
これは発生国を明示的にするためのものであり、チャイナによる情報戦に対しての意思表示となります。それ以上の意図はありません。