オランダの29歳の新星ブレグマンが、「デ・コレスポンデント」という広告を一切とらない先鋭的なウェブメディアで描いた新しい時代への処方箋は、大きな共感を呼び、全世界に広がりつつある。最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、そして国境線を開放することである。それこそが、機械への『隷属なき道』となる。
はじめに
ベーシックインカムは私も何度も取り上げているテーマですが、それについてオランダの若手ジャーナリストが新しい目線を提供している本です。
「働かざる者食うべからず」からの古い思想から脱却できない日本人に、この新しい目線を考えてみることは重要のように感じます。
あらすじ
筆者は、現代の真の危機について、「より良い暮らしを思い描けなくなっていること」にあるとします。
中世の時代からすれば現代はユートピアそのものであるが、新たな夢を描けないため、富裕国の人の大半は、子供たちは親世代より悪い時代を生きることになると信じているそうです。
そして、資本主義は豊穣の地の門を開いたが、資本主義では豊穣の地を維持できず、別の方法を見つける必要があるとします。
その方法として筆者はベーシックインカムを主張します。
現代の福祉は「働かざる者食うべからず」の発想からなりたっており(聖書にもこの教えはあるそうです)、貧乏人はお金を上手く使えないといおう前提のもとで、就労重視の様々なプログラムが行われています。
しかし、この前提は間違っており、フリーマネーを手にした人は、そのお金を適切に使い、収入を増加させていたり、学業成績を向上させる、人々が健康になるといった良い効果が実際に確認されています。
一般的な固定観念である、フリーマネーをもらうと堕落するというものは誤っていたのです。
しかし、このような「ユートピア的」な画期的なことは、3つの根拠による攻撃を受けるようです。無益だ・危険だ・計画どおりにいかないと。しかし、ユートピアは実現するとたちまちどこでも当たり前のものと見なされるようになるとします。かつての民主主義のように。
そして、ベーシックインカムの有効性について、筆者は貧困がもたらす欠乏の害を考えるべきだと主張します。
さらに、貧困は「相対的貧困」がすべてであり、国がいくら裕福になろうと、不平等はつきものです。格差社会で生きる人は他人にどうみられるかをより気に掛けるため、結果として生じるストレスは、病気や慢性的な健康問題につながりやすい。
このことについて筆者は「病気を治そうとせず、症状を抑えることばかり考えている」と評します。
それでも良心が痛まないなら、財布にとっても良いことを考えることを勧めます。
その他、GDPの意味合い、労働時間の削減、国境を開く意味についても本書では触れられていきます。
この本から得られた視点は、ベーシックインカムによるフリーマネーは貧者を堕落させるのではなく、資源があることでその資源を活用して、幸福の最大化を目指すということでした。これは私も想像に至っていないことで、貧富の格差が広がった結果、貧しい側は何もできなくなっており、却って無気力になっているということです。
もう一つは、既存の概念だとフリーマネーをもらって(金銭的な)生産性のない活動をするというのは悪(怠惰)ということでありますが、それは一面的なものの見方であり、GDPのような旧来の概念に捕らわれてはいけないと感じました。
本当の豊かさとは何か、より良い暮らしとは何かということを考えていけば、ベーシックインカムを採用し、AIを働かせて裕福な生活を維持し、人間はよりよい人生を考えていく、そのような時代が来ているように感じます。
私のベーシックインカムに関する考えは、以下の記事をご覧ください。
日本復活へ一市民の妄言2019 その2
中世の時代からすれば現代はユートピアそのものであるが、新たな夢を描けないため、富裕国の人の大半は、子供たちは親世代より悪い時代を生きることになると信じているそうです。
そして、資本主義は豊穣の地の門を開いたが、資本主義では豊穣の地を維持できず、別の方法を見つける必要があるとします。
その方法として筆者はベーシックインカムを主張します。
現代の福祉は「働かざる者食うべからず」の発想からなりたっており(聖書にもこの教えはあるそうです)、貧乏人はお金を上手く使えないといおう前提のもとで、就労重視の様々なプログラムが行われています。
しかし、この前提は間違っており、フリーマネーを手にした人は、そのお金を適切に使い、収入を増加させていたり、学業成績を向上させる、人々が健康になるといった良い効果が実際に確認されています。
一般的な固定観念である、フリーマネーをもらうと堕落するというものは誤っていたのです。
しかし、このような「ユートピア的」な画期的なことは、3つの根拠による攻撃を受けるようです。無益だ・危険だ・計画どおりにいかないと。しかし、ユートピアは実現するとたちまちどこでも当たり前のものと見なされるようになるとします。かつての民主主義のように。
そして、ベーシックインカムの有効性について、筆者は貧困がもたらす欠乏の害を考えるべきだと主張します。
さらに、貧困は「相対的貧困」がすべてであり、国がいくら裕福になろうと、不平等はつきものです。格差社会で生きる人は他人にどうみられるかをより気に掛けるため、結果として生じるストレスは、病気や慢性的な健康問題につながりやすい。
このことについて筆者は「病気を治そうとせず、症状を抑えることばかり考えている」と評します。
それでも良心が痛まないなら、財布にとっても良いことを考えることを勧めます。
その他、GDPの意味合い、労働時間の削減、国境を開く意味についても本書では触れられていきます。
考察
ベーシックインカムを考えるにあたり元々私は、「財布」のことしか考えていませんでした。複雑になった福祉制度を維持し、面倒な手続きとそれを行う公務員を雇用し…という、労働のための労働を排し、純粋にお金を振り込む方がコストが安いということです。
もう一つは、既存の概念だとフリーマネーをもらって(金銭的な)生産性のない活動をするというのは悪(怠惰)ということでありますが、それは一面的なものの見方であり、GDPのような旧来の概念に捕らわれてはいけないと感じました。
本当の豊かさとは何か、より良い暮らしとは何かということを考えていけば、ベーシックインカムを採用し、AIを働かせて裕福な生活を維持し、人間はよりよい人生を考えていく、そのような時代が来ているように感じます。
私のベーシックインカムに関する考えは、以下の記事をご覧ください。