2019年7月7日日曜日

日本復活へ一市民の妄言2019 その2

その1からの続き


社会の安寧のために


安全と安寧で似たような意味に思われる方もいらっしゃるかもしれないが、こちらでは社会秩序について論じる。

最近話題となっている年金問題をはじめ、経済の長い停滞、人口減少や地方の疲弊等、社会の持続可能性が低下しており、既存の社会秩序の制度疲労というものが目立つと感じる。

ベーシックインカムの検討


私は財政の専門家ではないので、財政的な可否について数字面での根拠を持っていないことは先にお断りしておきたい。まずは、狙いとメリットを示し、議論の場へ上げたいのである。

なぜベーシックインカムなのかという点について説明していく。
まず、ベーシックインカムは、現状制度として腐敗の温床となっている年金制度と生活保護制度を解体することが狙いとなる。

年金制度は、老後に2000万が必要かどうかということではなく、賦課方式が現役世代と年金世代の数のバランスという点で、既に無理がある制度であることは、誰の目にも明らかであろう。
そこを無理に、70歳まで働かせようとしたりして、継ぎ接ぎで持たせようとするのは、現役世代と年金世代の世代間格差を広げる効果しかないだろう。その上、数年ともたない延命策である。

生活保護制度は、既に問題になっているとおり、本来受給すべき人が受給できずに餓死しているケースがある一方、不正受給の問題が後を絶たない。
制度の根幹として、「審査」というものがある以上、マイナンバーの活用など一定の解決策はあるにせよ、このようなケースが完全になくなることはない。

ベーシックインカムは、この二つの制度に潜む不平等を完全に解消できる。
前提として全国民にマイナンバーが存在することとする。
そして、ベーシックインカムは1人○円を払うだけであるから、そこに審査は必要なく、世代の差もない。また、所得についても考慮する必要はなく、高所得者はあくまでも稼ぎに対して税金として収めて貰えば良い。
つまり、機械的にマイナンバーと紐づく本人の口座に振り込み続けるだけでよいのだ。

これは別の副次的なメリットを産む。
公務員が要らないのである。年金や生活保護に関わる全ての公務員は、全て不要であり、たった一つ振り込みをするシステムさえあればよいのだ。
最も、それが故にこの制度は実現が遠いのかもしれない。
これは単に政府のコストを減らすだけでなく、人手不足である企業にも朗報だ。もちろん、再教育などのコストは必要ではあるが、かなりのインパクトであろう。

その他、児童手当をはじめとする手当類もベーシックインカムに統合することも可能であろう。年齢などの客観的で偽装の難しいデータと紐付けるのであれば、同じように機械的にできるのである。

別のメリットとして、少子化の解消に効果がある可能性もある。1人あたりに払う金額との兼ね合いではあるが、子供が増えれば世帯に入るベーシックインカムの額が増えるため、子供を産むということへの抵抗感が薄れる可能性はある。


では、デメリットは何か。
巷で言われるのは財源の不足による持続可能性と労働意欲の減退かもしれない。
まず、前者については財政の検証を待ちたいか、他の社会保障も含めてのスリム化や高所得者・企業からの増税などメリットとの比較考量の上で議論されたい。

労働意欲の減退は一般的に言われているが、私はそうではないと考える。
まずベーシックインカムは最低限度である。生活が成り立つから労働を一切しないという選択をする人が実際どの程度いるか。それなりにいるかもしれないが、一切の贅沢もできない、趣味も楽しめないという環境下で耐えられる人はそう多くはないだろう。

ということは、結局ベーシックインカムがあっても過半の人は働くし、それで人手不足になるのであれば、さらに賃金が上がり、物価が上がり…と市場の力で労働を選ぶ人が増えるのではないか。
むしろ、生活のために嫌な職にしがみつくとか、挑戦を諦めて安定した職につくという人が、新たなステージを目指しやすくなることから、却って労働意欲や生産性は向上することが期待できる。
特に起業や研究など、成功する人より失敗する人の方が多い分野に挑戦しないことによる社会の停滞を打破する可能性があるのは魅力である。


人口減少への対応


今の日本は、少子高齢化と叫びながら、対策を取るどこか、却って促進するような政策が続いている。
若年層から徴税し、高齢者にそれを分配している以上、それで少子高齢化が問題と言われても話にならないと言わざるを得ない。
既婚者が子供を作れない、作りにくい部分は、経済的な対応で済むだろう。

あとは、文化的な問題であり、1人で十二分に生活が成立する世の中になってきている以上、そもそも結婚する人が居なくなる。
それを政策でどうにかするというのは、根本的には無理だと考える。

しかし、政策で将来への希望を与えることや経済的に支援することにより、間接的にムードを変えていくことは可能であろう。
先ほどのベーシックインカムについてであれば、若者・子育て世代の20~40歳くらいの年齢や子供を育てている人数で少し金額を増やすのが考えられる。その金額自体は微々たるものかもしれないが、社会として子育てを応援するという強いメッセージを出すことが重要ではないか。

それで多少出生率を上げたとしても、当面はやはり人口減、特に生産年齢の減少は、どうしようもない。
そのためには、社会の労働力をもっと大切にし、省力化・生産性向上の投資にもっと力を入れるしかない。
しかし、今の日本は企業はその方向へ投資しているとは言いがたい。結局のところ、安い労働力に安住しているのだ。
昨今、最低賃金について様々なことを言われているが、筆者は早期に1000円への引き上げるべきだと考える。
労働力が上がらないと、安い労働力を浪費する企業が淘汰されない。

もちろん、短期的に失業者が出るという問題はある。しかし、ベーシックインカムさえあれば、失業したからといって生活が出来ないわけでない。ベーシックインカムがないとしても、既に失業手当などの様々なセーフネットが存在し、その短期的な問題を緩和する具えはあるのだ。


自由貿易の発展的な見直し


自由貿易というのは、国が発展するための手段であり、民主主義などと同様で過去の歴史から、ベターな手段として一般的に認識されているものである。
しかし、同様にこれらは不完全なものである。

一部の国や企業は、自由貿易を悪用して、利益を貪っている。
正等なルールに基づいた規制まで、全て自由にしてしまったのではないだろうか。
これの揺り戻しが米国では既に始まっている。
今後、米国との交渉は楽ではないと思うが、これがある意味本来の姿ではないだろうか。
そして、日本も正統なルール作りと、それを悪用する国への厳しい対応をしていく必要がある。

今までは冷戦構造や日米安保に乗っかっているだけで、軍事と同じように外交も機能しなくともやっていくことができてしまっていた。
どうしても経済的な成長というものが下がってきている以上、国のプレゼンスを維持するだけでも大変な中、国益を確保し、他国からも信頼されるようにするというのは、楽ではない。

だからこそ、G7などの国際会議やTPPなどのルール作りなどで主導的に力を発揮していきたい。
しかし、政治の側は、それが直接民衆に受けないために、益々関心が薄れて、官僚任せにしているのではないか。
政治家は、外交の重要性を有権者に伝える努力をすべきであり、有権者に対し、聞こえのいいことだけを言うのを辞めるべきである。
一方、有権者は目先の利益だけではなく、社会全体の持続性ということを考えて政治家を選ぶべきだ。そうであれば、外交音痴の政治家など全く不適当であることは、間違いがないだろう。


その3へ続く