2020年8月2日日曜日

直接的要因と間接的要因

はじめに


最近はオニール本やミネルヴィニ本でグロース(というかモメンタムかも)投資を学んでいました。
どちらの本もグロース投資なので、つまりは「これから株価が上がる株」を買うということになります。

では、「これから株価が上がる株」は何かということを考えるわけですが、そこで重要な株価を動かす要因が何かというと、直接的には需要と供給ということになります。
オニール本もミネルヴィニ本も、最終的にはチャートから需給を読み切って、ベストのタイミングで買うことを指示しています。

ちなみに、それぞれの読書メモは書かないの?という話ですが、あらすじはもう別にいいと思うので、これで代用します。

直接的要因とは


株価が動く直接的要因は、需要と供給と言いました。
つまり、これはセリみたいなものです。

株式市場は、買いたい人と売りたい人がいます。
たとえば、私がアップル株を持っていたとして、100万ドルだ!と言っても、買う人が100万ドル出してくれなければ、100万ドルで売れることはありません。
逆に、Amazon株が欲しいとして、10ドルだと言っても、売る人が10ドルで売ってくれなければ、10ドルでは買えません。

市場参加者の中で、それぞれの株が欲しい人が買いたい価格を提示し、売りたい人も同様に売りたい価格を提示する。それがマッチしたところが、今の株価というわけです。


間接的要因とは


これは一杯ありすぎるので、独断で主なものだけをピックアップします。
  • 理論株価
  • PER(PSR)
  • 決算
  • 金融政策
  • 世界の景気
  • 格付け、レーティング、その他の推奨
  • トレンドライン・チャネルライン
  • 移動平均線
  • フィボナッチ
  • オシレーター
前半の5つ、6つがいわゆるファンダメンタル分析に関わる部分になります。

(私もそうでしたが)決算が良いとか割安といった株を買おうと思う人がいます。
そういう人が一杯いれば、株価は上がります。
しかし、これは直接的要因ではありません。なぜならば、
 PERが安い→買いたい人が増える(需要が増加する)→株価が上がる
だからです。

バリュー投資を実践している人なら理解できると思いますが、PERが安かろうと、買いたい人が増えない(その低PERが正当な評価だと思われている)のであれば、需要は増加しませんので、株価は上がらないからです。

後半の4つがテクニカル指標と呼ばれるもので、トレンド(上がる・下がる流れ)を測ったり、株価が反発するラインを読み解くものです。
たとえば、下がっていた株が、移動平均線やフィボナッチが示す価格帯で反発したとします。
これもまた直接的要因ではありません。
 価格帯に達する→機会を捉えて参入する(需要が増加する)→株価が上がる
だからです。

逆に言うとテクニカル指標の最大の失敗例は、捻ったシグナルを発見してみたものの、誰もの地点を「価格帯に達した」と判断して、参入してくれないというオチです。つまり、テクニカル指標には王道しかあり得えないということは、理解しておいて損はないと思います。

投資の中でどう考えるか


今までの話の流れからすると、直接的要因であるところの需給さえ見ていれば儲かるということが言いたいのではないかと思うかもしれませんが、これは違います。

需給を読み解くには価格と出来高が必要ですが、これは事後的な情報になります。
そして、ある時需要が増加し、価格が上がった株が、その後に上がるのか下がるのかは結局わかりません
どこかで、需要が一巡してしまえば、売り優勢になって価格は下がるわけです。

となるとアプローチは三つになります。
  • 需要が上がり「そう」な株を事前に買っておき、上がったら売る。
  • 大きく需要が上がる株を、需要が上がった前半の段階で見いだし、上がったら売る。
  • 株価のことは忘れて只管積み立てる。
1つ目が逆張り、2つ目が順張り、3つ目はインデックスか高配当のことですかね…。

3つ目のことは忘れておくとして、1つ目の逆張りをするのであれば、間接的要因に頼って、割安であるか下げ止まりそうな株を狙うことになります。
2つ目の順張りをするとしても、上がったものから更に上がる"玉"と、すぐ元に戻る"石"を見分けるためには、間接的要因も考慮する必要があります。

しかし、過去の自分の反省ですが、割安株を探すや良決算を調査することに没頭し、間接的要因に意識が向きすぎるあまり、人がそれをどう見て、買ってくれるのかということを忘れていたということがあります。

特に決算シーズンは決算が良い悪いという情報が錯綜します。
良い決算なのに、下がっている…なんて声も聞こえたりしますが、個人的にはこう考えるようにしました。「良い決算かどうかは、お前が決めるのか?
決算の結果で、皆がその株を買おうとしないのならば、きっとその決算は良くないと考える人の方が大勢だということになります。

少なくとも私は良い決算かどうかを判断する力がマーケットに勝っているとは全く思いません。そういう意味では、「効率的市場仮説」を部分的に是認しているかもしれません、笑
なので、決算情報はウォッチしますが、その判断は、自分でも下しませんし、他人の見方も無視し、株価だけを見るようにしました。

ただし、株価の上昇にファンダメンタルが裏付けとしてあるのかというところは、見ておいても損はないと思います。
デッドキャットバウンス(最近聞かなくなりましたね)ということもあり、上がっているし、出来高も増えているけど、実体がないこともあります。ロビンフッドのようなイナゴが群がった銘柄はそうでしょう。


もう一つは、確率の問題として(なのに体感だけど)、上がっている株が上がり続けることと割安株が逆襲して上がっていくことでは、少なくとも米国株においては前者の方が多く機会が存在するように感じました。
ETF投資における「バリュー」と「グロース」の方どちらが良いという話とは異なり、投資手法としてみた時は、グロース順張り(モメンタム)投資の方が有力な(上がる確率が高い)手法のように感じました。
体感なので、個人の能力・志向の上では、という話になります。

まぁ、ぶっちゃけてしまうと、バフェット本とオニール本やミネルヴィニ本では実践の難易度が違い過ぎるという部分もあります、笑
そのような個人的な問題も含めて、グロース順張り(モメンタム)投資が有力かなという結論に最近達しました。
(3月に達していたらなぁ……)


参考文献


オニールの成長株発掘法
アメリカ屈指の投資家であるウィリアム・J・オニールがやさしく解説した大化け銘柄発掘法。第4版の本書では、大化け銘柄の発掘法とともに、2000年と2008年のような大暴落から身を守る方法も明らかにされている。また、1880~2009年に大化けした銘柄の詳しい解説付きのチャートを100枚掲載し、初心者にもひと目で分かるような工夫が施されている。
ミネルヴィニの成長株投資法
急成長株を上昇前に知り、仕掛ける方法を伝授!ミネルヴィニのトレード法の驚くべき効果を証明する160以上のチャートや数多くのケーススタディと共に、世界で最も高パフォーマンスを達成した株式投資システムが初めて明らかになる。