2018年8月12日日曜日

大手新聞・テレビが報道できない「官僚」の真実(高橋洋一著)

大手新聞・テレビが報道できない「官僚」の真実
新聞やテレビの報道では、連日のように「森友学園問題」や「加計学園問題」を取り上げている。しかし、一向に真相が見えてこない。なぜか。それは、これらの問題の裏には、官僚たちが必死で隠そうとする「不都合な真実」があるからだ。本書では、元財務官僚で霞が関を知り尽くす著者が、官僚の御用記者になってしまったマスコミでは報道できないニュースの真相を明かす。


一部界隈を除けば、もはや目にしたくない「モリカケ」でありますが、最終解決を図るべく、手にとって見ました。
その点については、個人的な何も真新しいことはなく、あえて述べることもしません。

他の本や人も書いていることだろうとは思いますが、官僚が政治・マスコミを支配する構図というのが平易に描かれており、著者の主張を含む面もあるにせよ、国民が知っておくべきことがあるように思います。
日頃の政治の児戯に等しい騒動とは別に、今の日本を操るものの正体の一編は、やはり官僚なのだと思います。
その中で大きな力を持つ財務省、その実力とカラクリが中の人の視点で描かれています。
特にマスコミや有識者の飼い慣らし方は筆舌に尽くしがたいです。
個人の倫理や道徳を語るのは理想主義ではありますが、あえていうならこの連中には日本人として誇りは無いのかと呆れます。

加計問題もありますが、官僚が許認可権を持つということがやはり基本的に間違っていると改めて思います。
特に、本書の中にあった医師や獣医師の需要予測に基づく不認可というのは明らかに不合理で、過剰な学部は市場原理で淘汰されまることになるのですが、果たして官僚制は市場原理よりも優れているのでしょうか?それは本書を読む限り有り得ないでしょう。

筆者と私の決定的な見解の相違は、地方分権です。
官僚の力をそぐには、中央集権を打破し、地方分権にしていくのが望ましいと。
それは真実の面もあるかと思いますが、いまの地方にそのような気概や能力があるのか、ここはとても疑わしいです。
もちろん中央集権制で封じ込まれている面があるとは思いますが。
あとは、これから衰退する日本を、どうやって軟着陸させて、再浮上させるかとなると、捨てるものの選択が出てきます。それを地方任せにすることはできないでしょう。

個人的には、官僚の国益より省益・既得権益の姿勢や、それに飼い慣らされるマスコミや有識者、群がる政治家と利権団体、このような構図は、教育の荒廃が根底にあるのだろうと、明治期と現代の比較では感じます。