2022年2月6日日曜日

見えない手(クライブ・ハミルトン、マレイケ・オールバーグ著)

見えない手―中国共産党は世界をどう作り変えるか
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〇日・米・欧での「浸透工作」、全体像を初めてとらえた‼ 〇中国を痛撃し、世界の流れを変えた警鐘の書、待望の第2弾! 〇独英豪で相次ぎベストセラー、ハミルトン教授は中国入国禁止に。 〇アメリカの混迷と衰退で、全体主義的解決策がコロナ後の世界を席巻する。 〇反対意見を消去し、北京の望む通りに各国の世論を動かす手口がすべてわかる! 「言論の自由と報道の自由は中国共産党にとって最大の敵であり、我々はこれを最優先事項として守らなければならない」
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まえがき


本書は「目に見えぬ侵略」で有名になったクライブ・ハミルトン教授の続編で、前作は豪州を舞台としたものでしたが、本書は欧州、アメリカ、カナダを主な舞台としています。

チャイナの工作における手法、ポイントは前作と同様ですので、今回は何故欧州が"堕ちた"のかという点について注目してみます。


要約


欧米の多くのビジネスマンが、支那との取引で稼いでいるか、または稼ぎたいと思っているために、中共は実質的にロビイストを雇っているのと同じだと指摘します。

支那の政府関係者が二国関係について少し暗示するだけで、彼らは北京を怒らせないよう自国政府に圧力をかけてくれる。「以商逼政」として知られています。


また、欧米でよくみられる政治的な間違いとして、「中国での長年の経験は大使になる人間にとって常に有利」という考えを指摘します。

例として本書で出てくるのが、ドミニク・バートンという駐支那のカナダ大使ですが、彼はマッキンゼーでアジア担当として上海に5年の滞在経験があるようで、中国開発銀行の諮問委員、清華大学の非常勤教授も務めるなどの人物であります。

このように欧米の政府は、支那とその有力者を知る過程で、既に北京の影響力工作の術中にはまっていると指摘します。このような大使は、実質的に北京のメッセージを送り返すだけのメッセンジャーの役割しか果たせなくなるのです。


「農村から都市を包囲する」というのは毛沢東の理論として有名ですが、中共は影響力工作でこれを実践しています。地方の政治家は、支那のことに詳しくなく、国家安全保障にも責任を持たないため、支那の純粋な民間組織を相手にしていると思い込み、実際に工作員や北京の機関に指導されている人を相手にしていることがあるようです。

経済的・文化的結びつきに焦点があてられ、政治的な要素が無いように装われていますが、必要があれば中央政府に圧力をかけるために利用するのです。


メディアも中共にかかれば党のエネルギーを広める機関となります。彼らのジャーナリズムという概念では、真実の唯一の決定者は党なのです。

習近平の演説では。「メディアは党の姓名を名乗るものでなければならない」と述べたそうです。この意味について、メディアは習近平の率いる家父長的な「党の家族の一員」であることを意味すると指摘します。


中共にとっては「文化」もまた政治的なものであったと指摘します。毛沢東主義のイデオロギーが後退した後の中共は、その支配を正当化するためにナショナリズムを選択しました。

さらに習近平政権になってから、「伝統的な文化を復活させる正当な保護者」というだけでは満足せずに、党が「正しい支那文化とは何か」を決定するようになったと指摘します。


考察


本書からわかることは、中共は自由主義圏では通常政治的な意図を持たないと考えられるような部分も含めて、隅々まで党の意思というものが含まれています。

しかし、自由主義圏はそのような発想がなく、政治的な「免疫力」について非対称性があり、かつそれを中共は認識した上で徹底的に活用しているために、このような影響力工作ができたのだと感じます。

楽観的に見れば、このような影響力工作はできなくなってくるとも見れます。かつて後進国だった支那は既に欧米から見ても大国であり、かつそれは単なる大国ではなく異質な、敵性国家である大国とみなされていく現状から、全体的に警戒が強まるでしょう。警戒が進めば、お金の流れは当然規制が進むわけで、中共の力の源泉の一つである「チャイナマネー」や支那の市場にビジネスマンが感じるポテンシャルも落ちます。

また、本書のように中共の影響力工作を暴く言論は、自由主義圏では封じることはできません。中共の云う「友好」や「チャイナ文化」等の欺瞞も信じられなくなり、人を動かせなくなるでしょう。

一見して自由主義というものの弱みがわかったように感じるかもしれませんが、本書の存在は、自由主義の強さを示していると私は思います。党が真実を決めるという権威主義体制では、誤りは正されることなく破滅まで突き進むか、誤りを認めた結果正当性がなくなって崩壊するかのいずれです。中共の行く末がどちらになるのかはわかりませんが。

このような自由主義の強さというものを活かすためには、自由主義圏のそれぞれの国民が真実を求め最善と考えられる行動をとる必要があるのではないでしょうか。


「目に見えぬ侵略」のご紹介はこちら。


目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画(クライブ・ハミルトン著)


中共が仕掛ける影響力工作を含むハイブリッド戦争について、わかりやすい本です。

ハイブリッド戦争の時代(志田淳二郎著)
2022年1月1日土曜日

年頭のご挨拶(皇紀2682年、令和04年、西暦2022年)

 



皆様、新年明けましておめでとうございます。

昨年も拙文にお付き合いいただきありがとうございました。
武漢肺炎騒ぎの継続、岸田政権の誕生、東京五輪等のイベントがありました。
しかし、どうも日本が良い方向に向かっているとは言い難く、地政学的リスクは非常に高まっている現実に対し、あまりにも無力な状態であると感じます。

一方、内政に目を向ければ、武漢肺炎対策は経済無視の過剰な対応を内部に強いるにもかかわらず、水際対策は何もできない(憲法上の制約はありますが、憲法を変えられなかった自民党の責任という意味では同じ)という酷い状況であります。
その結果として、日本経済は一人負けといった状態であります。にもかかわらず、財政出動は渋り、増税議論だけは花が咲くというとんでもない状態です。

参院選が今年ありますから、せめてもの意思を示す他無いと思いますが、現状の支持率、マスメディアの報道を見る限りは、厳しいように思われます。

個人としては、生活を日本から移すことは難しいですので、せめて資産を米国に移すことで防衛していくことで対応していきたいと思います。
2020年3月末~今までの米国相場は(少なくともインデックスは)イージーでした。
その終焉は近そうにも感じますが、S&P500に勝つことを目標に頑張っていこうと思います。

末筆ではございますが、皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。


皇紀2682年、令和04年
西暦2022年

管理人 らうにー


いらすとや様から画像をお借りしております。