議決権行使方針ガイドラインとは
利益極大化に資することを目的とし、議決権行使を行う上での基準を定める。
機関投資家のガイドラインを参考に、個人投資家として簡便な基準に留め、議決権行使の手間と利益極大化を両立させる。
1. 剰余金処分・配当・自社株買い
自社株買いについては、配当とあわせて還元性向を考慮するものとする。
減配・無配については、相応の理由がない限り反対する。
本案に反対する場合、経営状況も考慮し、取締役選任に反対する。
但し、金融業については、個別判断とする。
1) 自己資本比率が50%以上、かつ配当性向が50%を下回る。
2) 自己資本比率が50%未満、かつ配当性向が30%を下回る。
3) 自己資本比率が25%を下回る場合は、配当性向が30%を下回ることを認める。(但し、取締役選任で考慮する)
2. 剰余金分配(配当)に関する取締役会決議を認める定款の変更
反対する。
なお、取締役会議で決定された分配について、1の基準を充たさない場合、全ての取締役選任に反対する。
3. 取締役の選任
a. 取締役の数
機動的な経営体制のため、15名を目安とし、会社の規模により多少の増減を認める。
基準を充たさない場合、全ての取締役選任に反対する。
b. 取締役の任期
c. 取締役の在任期間
在任期間が長い場合は、特に業績を注視し、再任の正当性を判断した上で、個別に賛否を投じる。
留任と新任のバランスが配慮されているかを確認する。新任が少なく経営刷新が見込めない場合、全ての留任者の取締役選任に反対する。
d. 社外取締役の数
また、e及びfの基準により適任と見做されない場合、その者を社外取締役とカウントせずに基準を判断する。
e. 社外取締役の独立性
社外取締役には、独立性を強く求め、以下基準で判断する。独立性が損なわれると考えられる場合、個別に賛否を投じる。
a) 系列会社に在籍していた者
b) 大株主に在籍していた者
c) 主要取引先に在籍していた者
d) 当該企業と関係のある弁護士、会計士、税理士、コンサルタント、銀行等に在籍していた者
e) 当該企業の主要業務に関係する関係各庁の公務員
f) a)~e)の近親者
g) 在任期間が7年以上を超える社外取締役
h) 多数の会社(4社以上)と兼務している者
i) その他、一般株主と利益相反の可能性がある者
f. 取締役の人物像
取締役については、経営者として適切な能力及び実績があることを求める。下記基準により、個別に賛否を投じる。
a) 営業利益が2期連続で赤字の場合、原則全ての取締役選任に反対する。但し、過去業績に責任がなく、適切な人物の場合、除外する。
b) ROEが3期連続で8%未満の場合、原則全ての取締役選任に反対する。但し、過去業績に責任がなく、適切な人物の場合、除外する。
c) 反社会的行為がある者、反社会的勢力とつながりがある者、その恐れがある者。
d) 会長と最高経営責任者(CEO)を兼務する者。
e) 同一会社内での社歴が長く、経営者としての経験・実績が無い者。
f) 過去に、他社で経営者としての実績がある場合、その実績を考慮する。
g) 別項の規定に抵触する提案を行った取締役については、個別判断により以降の選任に反対する。
h) 取締役会への出席が少ない者。原則として90%以上を基準とし、それ以下の場合は選任に反対する。特段の事情がある場合も、80%以上とする。
i) 60歳以上の者が取締役の1/3を超えないこととする。これを充たさない場合、全ての取締役選任に反対する。
j) 外国籍のものが取締役の1/3を超えないこととする。これを充たさない場合、全ての取締役選任に反対する。
k) その他、一般株主と利益相反の可能性がある者
l) その他、日本社会にとって不適当な可能性がある者
g. 取締役会全体の構成
そのために、個々の取締役の経歴や専門性、年齢層といったバランスが偏っていないことを望む。
4. 監査役の選任
原則として取締役と同一基準とする。社外監査役についても同様とする。
但し経営責任に関する項目(a及びc、d)に関しては除外する。
5. 定款変更
a. 買収防衛策
原則として反対する。また、株主としての利益を損なうと認めた場合は、加えて取締役選任にも反対する。
b. 種類株式の発行、発行可能株式総数の増加
原則として反対する。合理的な説明がある場合、個別検討する。
c. 増資
原則として反対する。財務体質改善に資することかつ、新株を既存株主に優先的に割り当てる場合のみ賛成する。
6. 役員報酬
それらの開示が不適当な場合には反対する。
また、ストックオプションについては、既存株主の不利益にならない範囲かつ、その対象者が取締役(社外除く)・監査役(社外除く)・従業員のみの場合を除き、反対する。
7. 取締役・監査役への退職慰労金・弔意金
原則として反対する。但し、金額が明示されており、それが合理的と判断する場合、賛成することを検討する。
8. 組織再編・買収・合併等
情報開示が不適当な場合は、反対する。
9. 社会的な責任について
我が国で活動する企業については、社会的責任を果たし、株主のみならず、従業員や顧客等全てのステークホルダーへの配慮をすべきと考える。
また、企業活動の中でも自然や環境に対する配慮も求める。
そのため、以下に各号を目安とし、不適当と判断した企業の場合、全ての取締役選任に反対する。
1) 安全保障に関するもの
a) 国外への技術流出やその危惧があるような取引等
b) 国外への規制品の輸出
2) 国益に関するもの
b) 敵性国家への投資
c) 敵性国家からの人材雇用
d) 敵性国家からの輸入
e) 外国への大規模な雇用流出
3) 社会に関するもの
b) 経営体制に起因する不祥事
c) 社会への責任を経営方針として明示しない姿勢
4) 労働者に関するもの
b) 経営体制や企業文化に起因する様々なハラスメント等
c) 労働者への責任を経営方針として明示しない姿勢
5) 地球環境に関するもの
a) 環境に大きな悪影響を与えることが従前に予測できる取引や操業等
b) 環境への責任を経営方針として明示しない姿勢
参考文献
https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Policy/Guideline
明治安田アセットマネジメント「国内株式議決権行使ガイドライン」
https://www.myam.co.jp/about/voting/guideline/
日興アセットマネジメント「議決権等行使指図ガイドライン(全文)」
https://www.nikkoam.com/about/vote/guideline
改定履歴
20190607新規策定
後書き
今まで優待株中心に株を持っていて、議決権を気にしていなかったのですが、少しでも経営サイドへ株主として成長と還元、社会貢献を求めていくべく、ガイドラインを策定し、それに則り賛否を示すことにしてみました。
その他の個人投資家の参考になれば幸いです。