2021年11月1日月曜日

選挙の総括

はじめに



2021年の衆院選は全ての議席が出そろいました。
自民党は261、公明を合わせると293ということで多少減ったとはいえ、与党で安定的な議席を確保したという結果でしょう。

いわゆる”立憲共産党”は議席を減らす結果となり、代わりに維新が台頭しました。
今まで自民党は得票を増やすためには、左傾化を続けていく方向でした。
これは、自民党より右よりの政党は実質的に存在せず、左側の民主党系から奪うことが求められていたからでしょう。
維新は、細かい部分は色々あれども、初めて自民党と同じかそれより右寄りの野党として、一定の勢力を確保したと言えます。
これで自民党の左傾化に一定のブレーキがかかればよいかなとは思います。


落ちた人から考えよう


さて、実質的には何も変わらなかったように見える選挙ですが、この選挙で落選した人を見ると何が国民が否定されたのか、少しは見えてくるのではないでしょうか。
もちろん個々の選挙区事情もありますので、落選した理由がこれだということはわかりませんし、こじつけ的な部分もあると思います。

予め断りますが、ここにおける「落選」は小選挙区のものであり、比例復活している議員も含むことをご承知おきください。
また、文中敬称略とします。


高齢・多選


毎回否定的な意味で話題になるこのワードですが、今回は大物が落選したことで話題になりました。
与党で言えば、野田毅や原田義昭などの70代以上の候補が落選している他、80歳の衛藤征士郎や74歳の林幹雄あたりが大接戦になっています。
野党はさらに衝撃で、小沢一郎と中村喜四郎の両者が比例復活とはいえ選挙区で落選しています。
個人的には、高齢・多選がすなわち悪と言うほど短絡的な発想はしていませんが、停滞する日本で同じ人物が政治家を続けるということの是非が厳しく見られている傾向は見て取れるのではないでしょうか。


増税


今回の選挙では増税に前向きな議員も落選しています。
筆頭は先ほども出ましたが野田毅でしょう。野田氏は大蔵官僚から自民党の税調会長等を務めていましたが、コテコテの増税派です。(負かした相手も元財務官僚なのですが)

また、東京で落選した石原兄弟も増税派と言えるのではないでしょうか。特に弟の方は、発言でネットが炎上していました。

福岡では、金融所得課税について20%から25%へ増税でも市場害さずとブルームバーグで流された山本幸三が落選しました。これは、本人の真意ではなく、先々の話として25%に上げても影響がないということいったと上念司氏のネット動画で説明していましたが、ブルームバーグの記事はアドバルーン的な意味もあったのかもしれません。
リフレ派、アベノミクスのブレーンということもあり、増税派という感じでもありませんが、否定的に見られた側面がありそうです。


レジ袋有料化


レジ袋有料化といえば、小泉進次郎ですが、彼は残念ながら楽々当選です。
しかし、本当にレジ袋有料化を決めた人物が落選しました。その名は原田義昭。
原田が環境大臣の時にレジ袋有料化の方針を決めており、2018年に会見で述べています。小泉進次郎は後任の環境大臣であり、実施時期にたまたま在任していたということになります。

レジ袋有料化は、環境問題に対して実際には殆ど意味が無いことや消費者・小売業者の負担が大きいこと、マイバックの方が実は環境負荷が大きい可能性が高いことなどの問題もありますが、最大の問題はこれが法律になっていないこと。
これだけ市民生活に影響が大きく、また憲法の定める営業の自由等に抵触する恐れもあるレジ袋有料化を法律にすらせずに省令と言う方法で実現してしまった元凶である原田に審判が下るのは必然といっても過言ではないような気がします。


不適切発言


不適切な発言で話題になった人も多数落選となりました。
最も有名?かもしれないのは、桜田義孝。最終的には同僚議員を「復興より大事」という発言で更迭されましたが、サイバーセキュリティ担当大臣としての衝撃的の答弁の数々は失笑では済まされないものがありました。まあ、人選の問題も大きそうですが。
イメージ悪化は免れず、対立候補に大差で敗北したものの、最下位で比例復活を果たしたようです。

個人的に重大だと思ったのが、中山泰秀。この人の落選は個人的に最も良かったかもしれないと思います。
マスコミが取り上げていませんので、何が問題なのか記載しましょう。
1つ目が、防衛副大臣という公職にありながら、イスラエルに一方的に肩入れる発言を「個人的に」にしたこと。このツイートは削除されていますが、削除したということがニュースになっています。問題点については、過去にツイートで指摘していますので、そちらに譲ります。

2つ目が、 小林賢太郎氏という五輪関連で問題になった人物について、海外の人権団体に連絡した件。


さらにダメ押しの3つ目が、台湾を兄弟と言ったこと。 


実際には維新が強いことや大阪府連が過去に共産党とまで手を組んだこと等の地域事情による面が大きいとは思うが、このような不見識な人物が落選したことは良かったという他はない。 


野党では辻元清美が落選した。しかも比例復活もできずに。この人の不適切発言はもう改めて取り上げるまでもないくらいだろう。


選挙制度はどうなのか


小選挙区比例代表並立制も既に20年を超えてきましたが、そろそろ制度について議論されるべきところに来ている気がします。まあ、その制度で当選している人が議員である以上、買えるのは容易ではないと思いますが。

私見ですが、小選挙区の問題は、同一選挙区から1人しか当選しないため、実際に有権者が選べる選択肢に限りがあることです。これは、副次的に下記の問題を引き起こします。
  • 党の看板だけで当選するため、「人間」としての審判が有権者によってしにくい。
  • 党の公認権が既得権益と化すため、世襲や多選への抑止が働きにくい。
  • 自公や立共のような政策や有権者を無視した連立が成立しやすくなる。
これは、過去に中選挙区制で、1選挙区から複数当選者が出るため、同じ政党間の候補では政策に違いをつけにくく、実弾(お金)が飛んだことからのアンチテーゼで起こった制度だと理解しています。
実弾を肯定する気はありませんが、党の公認という内部に問題を隠しただけであり、本質的な解決にならないどころか、余計ややこしくしたという評価になるのではないでしょうか。
もう一つは政権交代の起こらない制度を起こりやすくするという側面がありました。しかし、これは結局のところ野党勢力の問題であり、選挙制度の問題ではなかったのでしょう。

衆院の比例制度の問題は、参院のそれと違い、人名を書くことがないため、有権者の人物に対する審判が効かないこと、そして小選挙区と重複立候補出来るため、完全に救済措置と化していることです。


個人的にあるべき選挙制度としては、
  • 党より人を選ぶ制度。
  • 地域より国家に奉仕する議員を選ぶ制度。
  • 有権者の審判は当選だけでなく、落選にもあり、復活出来ない制度。
  • 可能な限り、一票の公平性を重視した制度。
だと思います。

現在の制度は政権交代を起こすという発想に基づき作られており、人より党を選ぶ側面が強いです。
しかし、政党はそもそも憲法の規定外の存在であり、政治家の都合で如何様にもなるものです。実際、特に野党系では前回の選挙と今回の選挙で同じ人の看板が異なるケースはざらです。
また、政党という一つの組織においても、掲げている政策は様々であり、議員によっても様々です。私はそのような政党の内部に対し、投票という手段で有権者が影響を与えていくことが出来て然るべきだと思います。特に自民党のような与党かつ巨大な政党であれば、自身が望む政策を実現する可能性が高い候補を当選させていくことにより、党の方向性ひいては国の方向性をコントロールしていくことができるわけです。

もう一つは地域と議員のつながりです。今の小選挙区制は、否応なしにそれが強制されます。そのこと自体を否定するつもりはありませんが、国家レベルそして地球全体のレベルでの問題にかかわる国会議員が、地元に貢献しているからと当選ということで選ばれるのが果たして妥当なのかということです。
しかも、比例のブロックは少し大きいため、地元の候補ではない人を救うことになります。極端な例を言えば、今回静岡5区で落選した自民候補は、選挙区ではダブルスコアで地元からNOとなっていたのにも拘らず、愛知県等を含む東海ブロックとしては復活するということがありました。極端に言えば、静岡で否定された人を愛知の票で復活させたのです。

かつてはネットもありませんでしたから、全国に政策や人物を売り込むことは難しかったです。そのため全国区で当選するには何らかの団体の力か、あるいはタレントのように元々知名度がある人かのどちらかでないと難しかったでしょう。
しかし、今の世の中でそれができないとは思えません。二院あるわけですから、片方(参院)は地域代表として都道府県の選挙区とし、衆院は全議員単一選挙区としても良いのではないかと思う次第です。


おまけ

求める公約を途中まで書いて飽きてしまったので、放置していました。
それを途中までということで記録しておきます。

国防・安全保障


国家で最も重要な役割は国防です。
防衛の基本原則は、以下です。
  • 日本をリアリズムの基本原則を以って防衛する。
  • 日米同盟を基軸とし、自由主義・資本主義の各国を中心に、利害が一致する幅広い国家と協力していく一方、全ての国が敵性国家になることを考慮した戦略を練っていく。
  • 日本の国民や領土、経済的主権を脅かす、支那・朝鮮・ロシアを敵性国家と認定する。
  • 現況は、日本の軍事力が適切なものではなく、特に敵性国家が保持する核兵器を持たないことが、東アジア一帯が特に危険なものと考える。
  • 核兵器廃絶については、特に世界に平和をもたらすものとは考えず、特に求めない。ただし、現核保有国全てが検証可能かつ不可逆的な全核兵器の破棄を行う場合には、同調する。
  • 環境問題については、地球の持続可能性を高めることのみに限らず、経済分野を中心とした安全保障問題と捉え、日本のプレゼンスを高めるよう、国際的なゲームルールを策定する主導権を確保する。

そのため、今後4年の対応として、以下を考えます。
  • 憲法9条及び前文の実態に合わない平和主義を全面的に破棄し、適切な軍事力に守られた日本国内の平和を確保する。
  • 非核三原則を破棄し、自国の意思のみで発射できる核兵器の保有を目指す。
  • 防衛費のGDP1%という方針を破棄し、必要な国防費を捻出できるようにする。
  • スパイ防止法を策定し、国内における他国の諜報機関の暗躍を抑止し、先進諸国と同レベルの防諜能力を確保する。
  • 核兵器、サイバー分野、宇宙分野を国防に関する重点投資分野として、敵性国家に対する相対的優位を目指す。
  • 支那については、非人道性の指摘や過剰な軍拡、環境破壊を国際問題として世に問い、経済的な理由で支那に加担する国家や企業、勢力を1つでも引きはがすよう外交努力を続ける。
  • 環境問題を中心に、支那や欧州がゲームルールを策定する状況を打破し、日本の経済的利益の確保及び支那の孤立化を目指した、新しいゲームルールの策定を目指し、協力できる各国との連携を目指す。
  • 基軸となる現行の枠組みとして、日米同盟・クアッド・CPTPPにの維持・発展に努める。

経済・金融・財政


日本のこれら分野についての現況です。
  • 日本は既に30年以上経済成長できていない、他国ではあり得ないような緊急事態である。
  • 武漢肺炎においても、感染者数・死者数の割に、甚大な経済ダメージを受けている。
  • 既に日本は技術立国からは脱落しており、経済成長を実現するために新技術を生み出すためには、徹底した投資が必要である。
  • これらの経済的な問題の多くは、多数の非効率的な政治・経済上のシステムにあると考える。新自由主義的な政策が失敗しているのではなく、そもそも旧来型の官僚統制経済の失敗である。
  • これらの官僚統制的国家体制は、所謂モリカケ問題やメディア各社の接待問題をはじめとする、政府と民間のモラルハザードを生み出している。
  • 日本の国債残高は高額であるが、バランスシートやCDS市場の動向から見て財政破綻の予兆はなく、財政再建は経済の立て直しに比べ、劣後する目標である。
  • 日本は「重税国家」であり、経済投資や財政再建をお題目とする大きな政府化に歯止めをかける必要がある。
  • 少子高齢化も進む中、現状の社会保障制度(年金・医療保険)は既に持続可能性は失われており、ゲームチェンジが求められる。

そのため、今後4年の対応として、以下を考えます。
  • 小さな政府を目指すため、国民生活・安全保障・環境等の各事情に配慮しながら、許認可制度や規制の緩和や撤廃、デジタル化を目指す。
  • 武漢肺炎対策や各政策の実現のため、積極的に財政出動・国債発行を進めるが、インフレ率5%を一つの目安として、ブレーキを踏む。
  • 新技術を生み出すための技術基盤を再構築するためには、「選択と集中」からの脱却を行い、研究は殆どのハズレとごく一部の当たりしかなく、それを事前に判断することはできないという事実を直視する他はない。研究者が研究そのものに集中するできるよう、研究費は「ばら撒く」。これは経済状況や財政状況に関わらず、国家の存立に必要なものとして継続的に行う。
  • 公務員については、数・権限・業務を削減する一方、個人への給与水準を上げ、ワークライフバランスに配慮されたものとする。また、必要分野への配置転換も進める。
  • 官僚統制の解体について、象徴的なものとして、電波オークションを実施する。放送についてはインターネットで対応できることから、電波から退場いただき、様々な通信サービスの参入を図る。
  • 財政出動については、重点政策の実現を除く経済成長を目的を主目的とするものについては、乗数効果を重視し、可能な限りの効率性を追求する。乗数効果の期待できない給付金政策は取らない。
  • インフラ投資は積極的に進めるが、一方で地方部を中心とし、全てのインフラを維持できないこともあり、国土を「小さく」していくことも視野に入れるが、安全保障の観点から、特に国境沿い・海岸沿い・離島を人の済まないエリアとするリスクに配慮する。
  • 雇用維持・倒産回避に、過剰な配慮がされた現行経済政策を転換し、企業の新陳代謝や産業構造の転換に配慮する。そのために、雇用調整助成金は即時廃止する。
  • 一時的も含めた失業を許容する社会的な風土を醸成するため、各種制度を検討する。
  • 消費税は、内需へのダメージ・二重課税・逆進性・税還付等、多数の問題がある制度であり、即時廃止とする。
  • 所得税及び法人税については、税制の簡素化・徴税の簡素化を行う一方、国際的な枠組みも踏まえ、海外への税逃れを抑止する。ただし、お金を死蔵させるような行為については課税及び適度なインフレーションにより、お金を使うようにする。
  • 個人への所得税はマイナンバーを活用したものとし、申告は全てオンラインで完結するようにする。また、年末調整制度は廃止し、企業負担を軽減する。
  • 将来的に、生活保護・年金(国民・厚生・障害)・失業保険の各制度は廃止し、ベーシックインカムへの移行を行うため、諸準備を行う。
  • 医療保険については継続するが、負担割合を見直し、若者ほど安くする。また、自由診療を拡大し、混合診療の許容も目指す。
  • 皆保険制度における医療保険は、「病気を治すことで社会に復帰する」ためのものとし、範囲を絞り込むものとする。例えば、治療しなくても寝ていれば直るような風邪とかであれば、風邪と判断するための診断は保険対象とするが、風邪に対する治療や投薬は自己負担とする。また、治療の見込みに乏しいものや社会復帰の可能性がない高齢者への治療は自己負担とする。この点は治療や診察の記録など(例:NDB)をエビデンスとして活用し、社会通念にも照らして判断するべきである。混合診療が許容される場合も、このようなエビデンスの確保には配慮されるべきである。