2020年12月29日火曜日

投資情報が役に立つということと情報発信の責任

はじめに


最近見ると(私が見るようになったからですが)、投資情報というものは随分氾濫するようになってきました。
情報を鵜呑みにしてはいけないといいつつ、中々難しい世の中ですが、何が「有用」で「役立つ」のかということを少し考えてみたいと思います。


前提 投資に正解はない


世の中、正解がないことは殆どなのですが、実際は正解があるか正解に近しいものはあると思っている(思いたい?)人は多いです。
学校教育という人格形成に大きく影響を与える場で、正解のあることしかやっていないので、そこから脱却できない人が多いのではないかと推測するのですが、どうでしょうね。

誤解を恐れずに言えば、「正解に近しい"かもしれない"もの」はあるにはあります。
結構な人がインデックス投資というのではないでしょうか。問題は、それが「正解に近しい」と判断するのにも知識がいることですが。
ただ、私が「かもしれない」とつけるのは、やはり目的によっては正解に近くない場合があるということと、どのチャンネルから情報を集めてもたどり着く結論ではないことによります。

正解というからには、どのチャンネルから情報を集めていっても、「嘘」・「間違い」以外ではたどり着かないとならないのではないかと考えますが、インデックス投資はそこまでのものではありません。


本題 役に立つ投資情報を見つけるために


先ほど述べた通り、投資に正解はないという事実を受け入れるとすると、正解ではないものの「勝ち筋」を見つけなければいけません。
筋がないと、自分に必要な情報、不要な情報が判断できません。
もちろん、その筋が正しいかどうかは、どこかで振り返りをしないと、誤りや間違いに気づけないのでいけませんが、それは別の話ということで。

具体的にこの筋が何かといえば、わかりやすい例を挙げれば、チャートだけを見てトレードするとしましょう。そうすれば、チャートサイトは間違いなく必須ですし、移動平均線やチャートパターン、フィボナッチ等の情報も使うかと思います。
しかし、そういう人が、トレード対象の銘柄のプロダクトや決算情報を必要とするでしょうか。
使う人ももちろんいるでしょうが、「チャートだけを見てトレードする」と決めているのであれば、それらの情報はノイズになるかもしれません。
チャートパターンで売りなのに、決算がいいからホールドしてしまうかもしれません。

これとて間違いかどうかは、後からしか判断できませんが、「航路を守れ」という言葉でいえば、航路は逸脱しているので間違いと見なした方が、良いかと思います。
そうだとすれば、ホールドの誘惑にかられた決算情報は有害でしかなかったことになります。

しかし、別の投資家からすると決算がよいのに下がるのであれば、買い増すという判断をするかもしれません。
これが短期的バリュエーションの調整であり、この先もっと上がるのであれば、それはそれで正解ではないでしょうか。

例え話が長くなりましたが、筋が違う人・内容の情報は、その情報に価値があったとしても、その情報に労力がかかってたとしても、受け取り手にとっては有害、マイナスの価値しか生まないことがあるということになります。


情報発信をしたいならば


情報化社会になり、益々情報発信のハードルが下がりました。
このような駄文すら発表できるほどです。
しかし、私の様に自分の思考をまとめた程度のものならば、チラシの裏なのでいいのですが(自分に甘い!)、有料での発信も簡単にできるような時代になりました。

有料の情報自体は全く否定する気はありません。資本主義社会は労働をお金に変えるところからスタートしていますから。そして、実際に情報はお金を生むからです。
「金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる」

このような有名な漫画もありますが、お金を取るということは、金銭と価値を交換することであり、お金と同程度の価値があることについて、責任を負うという意思の表れであることは理解いただきたいものだなと思うばかりです。無料だから何してもいいということとは別です、当然ですが。

投資情報において、この責任とは何かということを考えてみた時、やはり私は「投資の筋」を明らかにすることではないのかと思うのです。

先ほどの例に戻れば、有料マガジンを購読しようか迷ったときに、テクニカルベースでブレイクしそうな銘柄を発信しますとあれば、テクニカルトレーダーはその内容を咀嚼し、自分のものとして投資できるでしょう。しかし、それが決算分析をしますというものであれば、自分の投資には役に立たないので辞めておこうという判断になるかと思います。

投資情報の価値を算定することは、非常に難しいです。人によって役に立つか否かが大きくことなるということに加え、その情報が役に立った時に得られるものとその情報が悪影響を及ぼしたときの損失が(実質的に)青天井であるからです。

だからこそ、投資情報はその人が役立てられるよう(=価値が出るよう)にお膳立てをするところまでやって、はじめてお金を取るステージに達しているのではないでしょうか。それがたとえ情報発信者にとって利益相反になる(読者が減ってしまうことにより収入が増えない)としてもです。

情報発信の入口は、正確性に努めることと人に理解させることにあると思います。

発信のハードルが下がった分、この点を意識していない人や正確性に努められるレベルに達していない人までもが、発信者になれてしまっているということは、憂慮する点です。

さらに、お金を取り、情報の価値に対して責任を取るということは、正確性とわかりやすさだけでは足りないということを理解するべきではないかと思う次第です。


アフィリエイトという裏口


さて、この世の中にはそのような金銭と価値を交換するという基本的にやり方に対して、私は「裏口」とはっきりいってしまいますが、アフィリエイトというやり方があります。

本来は、良い商品を紹介することで、紹介手数料を紹介したものの売り手からもらうというモデルですが、実際は紹介手数料を高いものをよく見せることに注力したものに汚染されてしまっています。だから、「裏口」です。

アフィリエイトをしている=その情報は有用ではない、有害というのはすごく短絡的な話だと思います。しかし、外見的に見るとその「紹介」が本当に優れたものだから紹介しているのか、(読み手には関係なく)紹介手数料が優れているから紹介しているのかを判断するというのは、非常に困難です。

その意味においては、悩むくらいならばアフィリエイト記事はすべて読まないというのが、一案のようにも思います。
アフィリエイトかどうかは、リンクを踏んだ時にアフィリエイトのIDが入っているとか、アフィリエイトプロバイダーのURLになっているかとかでわかる場合もありますので、ご参考までに。


初心者向けという闇


誰でも初心者時代はあります。そして、初心者には当然ながら筋はありません。それを見つけられる人は、中級者と呼ばれるのが妥当ではないでしょうか。
だからこそ、発信者にはより誠実である必要があると思うのですが、○980円の有料noteみたいなお金稼ぎの人が入りやすい場になっています。

冷たい言い方をすると、その程度の輩に騙されるなら投資はやらない方が幸せかもしれないとも言えるかもしれません。
しかし、ゲーセンが初心者を冷遇して廃れていくのと同じで、新しい投資家を受け入れられなくなったらおしまいではないかと思うのです。

ただ、この点について私は良い手段が思いつきません。
何か思いついたら追記するかもしれません。

結論


投資情報を役に立つ、立たないと判断するためには、まず自分の筋が必要です。
その判断を人に委ねてはいけません。あなたの人生であり、あなたの投資だからです。

よって、私は投資情報については、推奨は多少しますが、その逆はしません。
自分の筋に合わない情報でも役に立つ人はいるでしょうし、役に立たないものを役に立たないというメリットも義理もないので。せいぜい、悪質なものがあれば注意喚起するかもくらいです。

投資発信者になるのであれば、最低限の正確性やわかりやすさだけではなく、どうやって受け取り手がその情報を活かせるのか、発信者の筋を明らかにするべきです。
目的が違う、時間軸が違う、手法が違う、そのような投資の世界において、普遍的に正しい・役立つ情報はありません。そう思うのは、発信者の驕りでしかないです。

日本占領と「敗戦革命」の危機(江崎道朗著)

日本占領と「敗戦革命」の危機
日本崩壊の真の危機は戦後にあった。米中に浸透した共産主義者たちが仕組んだ敗戦革命プログラムの恐怖を白日の下に晒す驚愕の書。

はじめに


本書は、大東亜戦争~GHQによる日本占領の前期までにおける、共産主義者の動向とそれに対峙する昭和天皇や自由保守派の暗闘を示すものです。

これらの歴史から我々が学ぶべきことは、全体主義・共産主義がどのように社会を混乱させ、自分たちの都合の良い「革命」を起こすのかという一つの流れから、警察・公安・諜報の重要性です。

その一端を知るために、本書は有用な本ではないかと思います。


要約


個人的に現代に生きる教訓となるような箇所を抜粋しました。

第一~第三章


米国に潜むソ連のスパイや共産主義者と中共は、戦時中から既に「敗戦革命」は準備していました。
そのエピソードとして、共産主義者のフロント組織に堕ちたIPR(太平洋問題調査会)というシンクタンクというものがあり、これは民間のものでしたが、日本の支那「侵略」を非難するパンフレット(中共工作員が書いた!)をばらまいたり、戦後の日本占領計画検討に影響力を持っていたりしていたようです。

さらに、ルーズベルト政権下で組織されたOSS(戦略情報局)という情報機関も対日政策に大きな影響を与えていましたが、この組織にも共産主義者が多数入り込んでおり、情報機関のトップであるドノヴァン長官までもがNKVDに対し、欧州に潜入したOSS工作員のリストをソ連に渡そうとする有様であり、国を守るための情報機関が国益を害している有様であった。


一方、中共は、日本に留学経験のある者を使い、支那事変で日本人捕虜を獲得し、それを使って、日本軍や日本政府に影響力工作をもたらすことを目論んでいました。

ソ連は、日本人を過酷に扱いバタバタ死なせたのに対し、中共は手厚くもてなして日本人側に「恩義」を感じさせ、さらに自分たちを「日本人の敵」ではなく、「日本軍国主義の敵であり、抑圧された人民の味方」という二分法に基づく(このような手法は共産主義・全体主義者が革命に多用するロジックである)プロパガンダをしたそうです。その結果、彼らは積極的に中共に対し、協力するようになったそうです。
ちなみに、この中共延安に、コミンテルンの指示で派遣されてきたのが、野坂参三です。

さらに中共は、アジアに派遣された米軍にも接触し、国民党を貶める筋金入りの中共シンパの政治顧問が、ジョセフ・スティルウェル司令官の周りを固めていたようです。
OSSと中共、野坂も連携しており、野坂はアメリカのプロパガンダへの助言を行うなどの活動をし、OSSは中共に無線通信システムは汪兆銘政権への工作資金の提供などを行っていたようです。

第四章~五章


日本の降伏で問題だった点として、一つはルーズベルト政権下における「ストロング・ジャパン派」という日本をソ連に対抗するために使うために破壊しない派が、ソ連の息がかかった「ウィーク・ジャパン派」に敗れたこと、もう一つは日本自身がこのようなアメリカにも交渉可能な勢力があったことを理解せず、ルーズベルト政権が一枚岩と視野狭窄に陥り、その結果として、ソ連和平案しかないと考えたことで、さらに視野狭窄に陥ったことです。

もう一つ、軍幹部はアメリカが破壊する「国体」が右翼全体主義になっていたのではないか、それならば、資本主義・民主主義のアメリカより、共産主義(左派全体主義)のソ連と連携する方が良いと考えたのではないかという点も指摘します。

このような流れの中で、共産主義の危険性を指摘した「近衛上奏文」や、日本の徹底抗戦による「ウィーク・ジャパン派」の勢いが衰えた事などにより、昭和天皇のご聖断に至ったとします。


考察


本書で一番重要なことは、共産主義・全体主義が一般の人にとってどのように浸透していくかということを理解するが重要であるということです。
プロパガンダの基本的な手法である「二分法」は、アメリカにおいても日本においても格差の拡大によって、説得力を持ちやすい状況になってきています。

もう一つ挙げるならばは、昭和天皇のご聖断とその後の敗戦革命寸前の状況から日本を救ったという出来事が、なぜ実現したのかということです。
当時これを実現できた要因として、昭和天皇ご自身がインテリジェンスをご理解なさっていたこと、天皇陛下に対する国民の信頼が厚く天皇陛下の元に団結ができ、なおかつ天皇陛下もまた国民を信頼し分断ではなく団結を目指したことなどが本書では挙げられています。

今の憲法下では中々このように天皇陛下が直接的に動くことは難しく、また総理大臣以下の政治家には、残念ながら全くこのような役割は期待できないように思います。
そのような中で、敵国のプロパガンダに対し、日本の国体と自由・民主主義を御旗として、団結できるのか問われる時期が今なのではないかと思います。

では、このような状況を防ぐにはどうしたらよいかというと、私は教育以外にあり得ないと思います。全体主義が強制で自国の意思を拡散するのであれば、自由主義は知性で立ち向かうしかないでしょう。そうでなければ、全体主義と同じ方向に堕ちてしまいます。
自由主義を守るために、「自由を妨げる自由、秩序を妨げる権利は認めない」という最小限の制約であることが望ましいのです。

具体的に何を教育するといえば、歴史です。ナチスドイツやソビエトの様な全体主義が撒き散らす毒とその末路、彼らの手口を学び、自由主義・民主主義が現代人類の到達点として優れていることを理解することです。
日本人はまともな教育を受けていませんので、全体主義について非常に無理解であり、そのことが、金のために中共と容易に手を組んでしまう連中が多数生まれる原因になってしまいます。実際、中共をここまで育て上げたのは日本というのは、過言ではないでしょう。